住宅の健康状態を知る「ホームインスペクション」|沖縄リライフ

住宅の健康状態を知る「ホームインスペクション」

2023.05

住宅の健康状態を知る「ホームインスペクション」|沖縄リライフ

ここ数年続いている住宅地の地価上昇や建築資材の高騰、さらには物価高も相まって、新築でお家を建てることが、難しくなってきています。
そんな背景もあり、沖縄でも「中古住宅を購入してリフォームしたい」「実家を二世帯にリノベーションしたい」と考える方が増えてきました。

しかし中古住宅の場合は、メンテナンス具合や経年劣化の状況によって建物1棟ごとにコンディションが違います。
そのため「あとどのくらい建物が持つだろうか?」「雨漏りやシロアリの被害はないだろうか?」という不安もついてまわります。

そんな中、中古住宅のコンディションを知るための手段としてホームインスペクション(住宅診断)が少しずつ広まってきています。

目次

ホームインスペクションとは?

私が加入している日本ホームインスペクターズ協会では、ホームインスペクションを以下のように定めています。

ホームインスペクションとは、住宅に精通したホームインスペクターが、第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の状態について診断を行うものです。

具体的には非破壊調査といって、建物を傷つけたり壊すことなく、その欠陥や劣化の状況を調べる方法を用いて行われます。

目視による調査が主で、水漏れや劣化状況、不具合の有無などを調査します。
また、レーザー水平器やクラックスケール、打診棒といった一般的に普及している計測機器を使用して計測や触診・打診を行います。

調査項目は?

配筋調査
配筋調査
外壁クラック調査
外壁クラック調査

戸建て住宅の場合の基本的な調査項目は、大きく5つに分類されます。
①外回りの状態
②室内の状態
③床下の状態
④小屋裏・天井裏の状態
⑤設備の状態の部位

さらに細かくすると以下の内容が調査対象となります。
①外部
基礎/外壁/屋根/軒裏/雨どい/外部金物/バルコニー等/外部階段
②内部
壁・柱・梁/床/天井/土台および床組み/基礎および床下面/小屋裏
③設備
給水設備/給湯設備/排水設備/換気設備/火災警報器

床下蟻害事例
床下蟻害事例
傾き調査
傾き調査

沖縄の場合は県外と違って、鉄筋コンクリート造の建物が多く、その構造上、基礎が地中に埋まっていたり、床下や天井裏のふところが狭く点検が難しい場合もあります。

ちなみにホームインスペクションでは、「設計図通りに建てられているか」や「現行の建築基準法に適合しているか」、「瑕疵の有無や原因を特定すること」は調査に含まれておりません。

ホームインスペクションにかかる調査時間と費用

調査にかかる時間は、建物の規模や状態によって幅がありますが、おおよそ3時間前後となります。費用は、調査会社にもよりますが、目安として5万円~10万円が一般的となっています。

ホームインスペクションのメリットとデメリット

メリット

報告書で状況がわかり、今後の補修費用が見えてくる

ホームインスペクションを行うと「報告書」が発行されるので、住宅の劣化状況や雨漏り・シロアリ被害など不具合の有無を知ることができます。その結果を踏まえ、「補修にいくらかけたらいいか」「間取り変更や設備の取替えにいくらかけるか」「将来発生するメンテナンス費はどれくらい必要か」などについて把握しやすくなります。

主要部分の状態を把握できる

市場で販売されている中古住宅の多くがリフォームされず現況のまま売りに出ています。
そのため、どうしても使用感や表面上の汚れが目につき、リノベーションを前提に購入する場合であっても、決断に踏み切れなかったり、家族の賛同が得られない場合があります。
そんな時、インスペクションを行うことで、建物の主要部分の状態を把握でき、家族の賛同が得やすくなります。

爆裂によるコンクリート落下
爆裂によるコンクリート落下
雨染み跡
雨染み跡

デメリット

建物すべての劣化事象や不具合を見つけられない

ホームインスペクションは基本的に目視検査となるため、建物すべての劣化事象や不具合を見つけることはできません。
特に居住中住宅の検査の場合、室内に重たい家具やピアノがあって移動ができなかったり、幅が狭く人が入れない場所の場合、調査箇所であっても調査できないケースもあります。

中古住宅の購入を見送った場合…

中古住宅購入を前提にホームインスペクションを行った結果、調査で雨漏れやシロアリ被害などが見つかることがあります。その補修にかかる費用が多額になると予想された場合、購入を見送ると、調査費用だけがかかってしまいます。

打診棒による軒裏調査
打診棒による軒裏調査

安心してマイホームを手に入れるために。

海外では、以前から中古住宅の流通が盛んなため、それに比例してホームインスペクションの需要も高くなっています。
州にもよりますがアメリカでは、不動産取引の70~90%の割合でホームインスペクションが行われているというデータもあります。

これまで「新築が良い」とされてきた日本でもようやく中古住宅の流通が盛んになってきました。
安心して理想の住まいを手に入れるために、ホームインスペクションを検討してみてはいかがでしょうか?

「グーホーム × auka」が相性のいいリノベ店をご紹介!

あなたの理想を聞かせてください!

住宅のプロがあなたの理想を実現してくれるリノベーション会社をご紹介いたします。沖縄の多数のリノベーション会社からあなたと相性ピッタリのお店を厳選します。

理想のリノベ専門店を見つけるには?

この記事をシェアする

この記事を書いた人

金城 学志(きんじょう さとし)

金城 学志(きんじょう さとし)

がじゅまる不動産代表者。
住宅診断・リノベーションなどのしごとを行っています。
趣味:ウクレレ、DIY

がじゅまる不動産

がじゅまる不動産 リノベーション協議会

「じゅうをもっとじゆうに」をテーマに豊見城市で「安心できる住宅購入と毎日が楽しくなるリホーム・ものづくり」のしごとをしています。
住まい手が自分らしくいきいきと暮らす空間づくりを応援します。

※がじゅまる不動産はリノベーション協議会の会員です。