土地売却のやり方を徹底解説!基礎知識から税金など事前に気をつけておくことをご紹介|不動産の価値×売却コンテンツ

土地売却のやり方を徹底解説!基礎知識から税金など事前に気をつけておくことをご紹介

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  • 基礎知識
  • 必要書類
  • 売却の流れ

2023.06.26

土地売却のやり方を徹底解説!基礎知識から税金など事前に気をつけておくことをご紹介|不動産の価値×売却コンテンツ
出典:Adobe Stock

土地売却をする場合、まず何から始めたらよいのか悩む方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、土地売却のやり方について徹底解説します。

土地売却に関する基礎知識から税金、各種費用、実際の売却の流れまでまとめましたので、これから土地売却を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

目次

土地売却を検討する際に知っておきたい基礎知識

土地売却を検討する場合、あらかじめ土地売却に関する基礎知識を知っていた方がスムーズに進みます。
まずは、土地売却に際して知っておきたい基礎知識を紹介するので、ポイントを押さえていきましょう。

土地売却に関する基礎知識
  • 土地売却には時間がかかる
  • 売却を希望する土地の種類
  • 土地売却の相場

土地売却は時間がかかる

土地売却に際して知っておきたいポイントとしてまず挙げられるのが、土地はすぐに売れないということです。
土地の所在する地域にもよりますが、通常でも半年程度は売却までに時間がかかると見ておきましょう。

人気の地域ではすぐに売れることもありますが、立地条件や売却のタイミングなどによって、どのくらいの期間で売れるかは分かりません。
田舎であってもすぐに売れる場合もあるため、土地が売れる期間は実際に売却してみないと分からないのです。
そのため、まずは売却を依頼する不動産会社等へ相談し、周辺地域の土地がどのくらいの期間で売れているのかを事前に聞いてみると良いでしょう。

土地売却は時間がかかる
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売却を希望する土地の種類

売却を希望する土地が宅地であれば問題ありませんが、農地の場合は宅地転用ができないことがあります。
そのため、宅地転用ができる土地の種類なのかを調べられる登記簿を取り寄せましょう。

土地の登記簿表題部に「地目」という欄があり、そこに宅地や農地など土地の種類が明記してあります。
地目が「宅地」であれば、売却後もスムーズに住宅建築ができます。

一方、登記簿上の地目が「農地」であれば、売却する前に農地から宅地へ転用する手続きが必要です。
農地を農地として売却する場合にも、農地法に基づくルールが厳しいため容易に売却できません。
また、共有名義の土地や相続で取得した土地で自己名義になっていない場合は、事前に自己名義にしておくことで土地売却ができるようになります。

売却を希望する土地の種類
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土地売却の相場

土地売却を希望する場合、土地周辺の価格相場を知っておくと安心です。
実際の売却価格は不動産会社の査定にもよりますが、目安として土地周辺の相場を確認しておくと土地売却の際に何かと便利でしょう。

土地価格の相場を確認する方法として、日頃から土地売買情報をチェックすることをおすすめします。
具体的な調べ方は、売却を希望している土地と、立地条件や周辺環境が類似している土地の売却情報を集める方法が良いでしょう。 どのくらいの価格で売りに出されているのか、情報収集は常に行っておく必要があります。

土地売買情報をチェックするのと合わせて、売却を依頼する不動産会社に土地の相場に関して尋ねてみるのもおすすめです。
不動産会社では、周辺地域の平均的な坪単価などの相場観を持ち合わせていることが多いため、実際の査定前であっても簡易的な金額を提示してくれる場合があります。

土地売却の相場
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土地売却に必要な書類や費用とは

ここからは、土地売却に必要な書類や費用について解説します。
書類によっては、取り寄せに時間がかかる場合もありますので、事前に把握して準備しておきましょう。

土地売却に必要となる書類

土地売却時の必要書類
  • 土地所有者の身分証明書(運転免許証など)
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 登記権利書または登記識別情報
  • 土地の納税情報が分かるもの(固定資産税納税通知書など)

土地価格の査定依頼時や土地売却時には、土地所有者の身分証明書の提示が必要です。
これは、間違いなく所有者からの依頼によって売却手続きを進める必要があるためです。
実印や印鑑証明書、住民票も土地所有者本人のものを持参する必要があります。

固定資産税納税通知書は、土地所有者のもとへ毎年郵送されてくる書類です。 相続等で土地を所有することになり、土地の税金に関する書類が見当たらない場合などは、土地の所在する市区町村窓口で固定資産税評価証明書を発行してもらいましょう。

固定資産税評価証明書は、土地所有者本人や相続人であれば1通200〜400円程度で発行可能です。
発行方法は、市区町村窓口で直接申請するか、遠方の場合は郵送にて送付していただきましょう。

固定資産税評価証明書に関して分からないことがある場合は、土地の所在する市区町村へ相談することをおすすめします。

土地売却に必要となる書類
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登記権利書または登記識別情報

登記権利書とは、いわゆる土地の権利書のことです。
以前は、権利書として紙の書類が存在していたため、権利書がある場合は持参する必要があります。

一方、近年では権利書は発行されておらず、登記識別情報という12桁のパスワードが発行されるようになりました。
パスワードは表から見えないように隠されて記載されており、登記識別情報の書かれた書面を保管する必要があります。
なお、権利書に関しては、平成20年ごろまでの間に順次権利書から登記識別情報に変更されています。
紛失時でも原則として再発行はできないため、紛失した場合は所定の代替措置にて手続きをしましょう。

土地売却に必要となる費用

土地売却時に必要な費用
  • 仲介手数料
  • 測量費用
  • 解体費用
  • 繰上げ返済費用(当初の土地購入代金が残っている場合)
  • 印紙税
  • 譲渡所得税
  • 登録免許税(ローンが残っている場合の抵当権抹消手続きに必要)

土地売却時に必要な費用は、大きく諸費用と税金に分けられます。それぞれ詳しく解説していくので、目を通しておきましょう。

土地売却に必要となる費用
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土地売却時に必要となる諸費用

土地売却時に必要となる費用のうち、仲介手数料は不動産会社へ払う費用です。
仲介手数料は、宅建業法により計算式が決められているため、どの不動産会社へ依頼しても仲介手数料は同じです。

計算式は、土地の売買価格が400万円以上の場合は【売買価格×3%+6万円】です。
売買価格が1,000万円の場合は、仲介手数料は36万円ということになります。

測量費用と解体費用、繰り上げ返済手数料は必要に応じて発生することがあります。
測量費用とは、土地の広さが確定されていない場合に必要です。

解体費用は、売却を希望する土地の上に古家がついている場合、必要に応じて負担する費用です。
詳しくは後述しますが、古家付き土地として売却した方が良い場合もあります。

繰り上げ返済手数料は、売却希望の土地に住宅ローンが残っている場合、売却前に繰上げ完済する必要があります。
また、その際は完済費用も必要となるので覚えておきましょう。

土地売却時に必要となる各種税金

土地売却時に必要となる税金のうち、印紙税は必ず発生します。
具体的には、収入印紙を購入して売買契約書へ貼付する際の費用です。

必要となる印紙税の額は、売買契約書に記載された売買価格によって異なるので注意しましょう。
なお、収入印紙は全国の郵便局や法務局などで購入できます。

譲渡所得税は、土地を譲渡(売却)して利益が出た場合に課せられる税金です。

登録免許税は、売却を希望する土地に住宅ローンが残っている場合、完済後抵当権抹消をする際に必要となります。

一般的な土地売却の流れ

ここからは、一般的な土地売却の流れについて解説します。

一般的な土地売却の流れ
  • 事前準備および査定
  • 不動産会社と媒介契約し売却
  • 土地売却に伴う売買契約(決済・引き渡し)
  • 確定申告

事前準備および査定

土地売却のやり方のうち、重要なのは事前準備です。
事前準備をする理由は、どの不動産会社へ売買仲介を依頼するのかによってその後の流れが変わってくるためです。
査定金額や販売経路など、不動産会社によって差があるため、どこに依頼するのかは慎重に検討しましょう。

土地価格の査定は、なるべく複数の不動産会社へ依頼しましょう。
査定を通じたやり取りの中で、どこに仲介を依頼するのか検討するのも良いでしょう。
また、不動産会社は査定金額だけで選ぶのではなく、土地が所在する周辺地域の売買実績が豊富なこともポイントの一つです。

事前準備および査定
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不動産会社と媒介契約し売却

どの不動産会社に仲介を依頼するのかを決めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産会社にお願いして土地を売ってもらう契約という意味です。契約形態には次の3つがあります。

媒介契約の種類
  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

一般媒介とは、土地所有者が購入希望者を見つけるのも良し、不動産会社が購入希望者を見つけるのも良しという契約です。
一般媒介では、土地所有者は複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができます。つまり、土地所有者も、複数の不動産会社も、誰でも土地売却の顧客を探せる自由度が高い契約です。

専任媒介契約は、仲介できる不動産会社は一社のみとなります。ただし、土地所有者が購入希望者を探すこともできるという契約です。

専属専任媒介契約は紹介した中で最も厳しく、土地所有者が購入希望者を探すことはできません。媒介契約をした不動産会社の一社のみが、土地の売却を取り扱うことができるのです。

この他にも、媒介契約には細かな違いがあります。不動産会社と媒介契約を結ぶ際は、それぞれの特徴について説明を受けてから決めるようにしましょう。

不動産会社と媒介契約し売却
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土地売却に伴う売買契約(決済・引き渡し)

これまでは、土地を売る前の段階の準備や契約を解説しましたが、ここからは実際に土地売却が表にでる場面に入ります。

土地売却に際し、媒介契約を結んだ不動産会社と売買価格の設定をします。
価格は土地所有者が自由に決めて良いものですが、高額な値段に設定すると売れにくくなるため按配が必要でしょう。

安すぎるとすぐに売れることもありますが、やはり適正な価格で売却したいものです。
売買価格の設定については、不動産会社と相談の上で周辺の土地価格として妥当な範囲で設定すると良いでしょう。

購入希望者が決まったら、最終的な価格のすり合わせや条件交渉が始まります。
購入希望者が必ずしも提示している値段通りに購入するとは限りません。もし、値段交渉が必要となる場合でも一方的に受け入れるのではなく、あくまでも交渉をするという方向で進めましょう。
安い値段で交渉されて土地所有者が損をすることが無いよう、あらかじめ最低売却価格の目安を決めておくと安心です。

土地売却が決まったら、不動産会社が各種書類を作成して売買契約を結びます。
売買代金が支払われたら、購入者へ必要書類を渡して売却終了です。

土地売却に伴う売買契約(決済・引き渡し)
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確定申告

土地を売却することで、普段は確定申告が必要のないサラリーマンであっても確定申告が必要となります。
具体的には、土地売却で利益が出た場合には「譲渡所得の確定申告」、売却により損失が生じた場合には「譲渡損失が出た場合の確定申告」です。

土地の売却に際して、一定の要件を満たすことで特別控除の対象となる場合があります。
特別控除も含めた税金に関する相談は、最寄りの税務署の税務相談や税理士へ相談することをおすすめします。

確定申告
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土地売却で注意したいポイント

ここでは、土地売却時に気をつけたいポイントを紹介します。
こちらで紹介する2点以外にも、実際に土地売却を進める中で気になる点が出てくる可能性もあります。
その際は、その都度不動産会社など関係先へ相談して疑問点をなくしましょう。

隣接地との境界が分からない場合は事前調査が必要

土地売却で気をつけたいのは、隣の土地との隣地境界線についてです。
自身の目視で境界杭等が分かる場合は問題ありませんが、不明瞭な場合や境界標が見当たらない場合は、土地家屋調査士へ依頼して調査測量してもらう必要があります。

また、そもそも境界線についてよく分からない場合も多いでしょう。
その際は、土地の査定で依頼をした不動産会社から、境界線の不備について指摘されることもあります。
もし、境界線について調査が必要となった場合、通常の土地売却よりも時間と費用がかかるため注意しましょう。

測量費用は、隣接する土地が私有地であるのか、行政の立ち合いが必要な土地(道路など)であるのかによって異なります。
測量等についても、不動産会社へ相談して提携先などを紹介してもらうと良いでしょう。

隣接地との境界が分からない場合は事前調査が必要
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古家つき土地の売却では家をどうするか

土地売却の際に、建物が建っていない更地の状態であればそのままで売却できます。
一方、長く住んでいない建物(古家)が残ったままの土地を売却する場合には、手続きを慎重に進める必要があります。

たとえば、土地売却を検討している場所が再建築不可である場合、古家を解体した後は宅地として利用不可です。
この場合、完全に古家を解体するのではなく、建物の基礎部分を残してリフォームをすると宅地として利用できます。

このように、売却希望の土地周辺の環境や土地価格などから勘案し、古家を解体したほうが良いのか、残したまま売却して基礎部分は使える状態で宅地として売却した方が良いのかを選び、決断しましょう。
事前に不動産会社と相談し、更地での売却か古家付きのまま売却するのか柔軟に決めてください。

古家つき土地の売却では家をどうするか
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まとめ

土地売却を検討し始めたら、まず土地登記簿を取り寄せましょう。
土地登記簿の地目が「宅地」となっている場合は、スムーズに売却手続きへ進めます。
一方、「農地」など宅地以外の地目の場合は不動産会社と相談の上で慎重に手続きを進める必要があります。
また、相続で入手した土地の売却では、事前に自己名義へ変更しておきましょう。

本記事で紹介した内容を参考に、売却に必要な書類はあらかじめ揃えておくと安心です。
実際に売却した後は、確定申告を忘れずに行いましょう。

土地売却で困りごとや不明点がある場合には、その都度不動産会社へ相談して円滑な売却を進めてください。

不動産売却のことでお悩みなら

この記事を書いた人

大野 翠(おおの みどり)

大野 翠(おおの みどり)

合同会社芙蓉宅建FPオフィス代表。
約6年の企業内FPを経て、2016年に金融商品の販売をしない独立系FPとして開業。
2021年に法人化。保有資格は宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級FP技能士。
大手資格スクールにて宅建及びFPの講師として登壇する傍ら、初心者向けマネーセミナーを毎月2会場で開催。
金融や不動産など幅広く旬な話題をテーマとし、これまでの参加者は延べ500名を超えている。

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