築30年のマンションは何年住める?中古住宅選びの注意点から購入するメリットまで|不動産の価値×売却コンテンツ

築30年のマンションは何年住める?中古住宅選びの注意点から購入するメリットまで

  • 中古マンション
  • 購入のポイント

2023.06.26

築30年のマンションは何年住める?中古住宅選びの注意点から購入するメリットまで|不動産の価値×売却コンテンツ
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近年、不動産市場ではマンションが人気です。なかでも、立地条件の良い中古マンションは狙い目であると言われています。
そこで今回は、中古マンションを購入する際の注意点から購入のポイントまでご紹介。
特に築30年のマンションに特化して解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

築30年のマンションはまだ住める?マンション寿命の目安とは

結論から言うと、築30年のマンションはまだ十分に居住できます。
現行の建築基準法(耐震基準)を満たしているため、最低限の安全性も確保されています。

まず築30年のマンション(中古住宅)の寿命の目安について解説していくので、目を通しておきましょう。

中古マンションにおける寿命の目安

中古マンションを含めた中古住宅の寿命の目安として、建物の耐用年数を基準とする場合が多いです。
マンションで一般的な鉄筋コンクリート造(RC造)の場合、法定耐用年数は47年とされています。

法定耐用年数とは、住宅など固定資産に対して国が細かく定めた耐用年数のことです。
一方、国土交通省が取りまとめた報告書によると、ここ20~30年内に建てられた住宅は性能が向上しているため、適切なリフォームを施せば100年以上は十分に保つと結論づけられています。

以上のことから中古マンションの寿命は、リフォームやメンテナンスなど適切な管理をすることで、法定耐用年数である47年を大きく上回る可能性が高いことが分かります。

中古マンションにおける寿命の目安
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新耐震基準を満たしているため安全

築30年のマンションは、現行の新耐震基準を満たしていることから安全性が高いです。
新耐震基準とは、1981年に建築基準法が改正された時に新たに設けられた基準を指します。

新耐震基準は、震度6強〜震度7の地震でも倒壊しない建物を対象に定められています。もちろん、2023年現在もこの新耐震基準は有効です。

これらのことから、少なくとも新耐震基準に基づいて建てられた中古住宅は、マンションも含めて安全性が高いといえます。
この基準を満たしているかどうかは、建物の寿命を考える際の目安のひとつにもなります。

新耐震基準を満たしているため安全
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築30年のマンションを購入する際のメリット・デメリット

ここからは、築30年のマンションを購入するメリット・デメリットについてご紹介します。

築30年のマンション・メリット

築30年のマンションのメリットには、主に次のような点が挙げられます。

築30年のマンション・主なメリット
  • 大規模修繕を少なくとも1度は終えている
  • 立地条件の良い場所に建っていることが多い
  • 新築より比較的安価で購入できる
築30年のマンション・メリット
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大規模修繕を少なくとも1度は終えている

通常、マンションは12年に1度を目安に大規模修繕をする決まりとなっています。
そのため、築30年であれば少なくとも1回、通常通りであれば2回は大規模修繕を終えていることになります。

大規模修繕とは、マンションの経年による劣化などに伴う修繕を長期計画の中で実施するものです。
大がかりな修繕工事となるため、マンションの周りに足場を組み立てるなどして工事を行います。大規模修繕後は、少なくとも経年劣化部分は修繕されます。

築30年のマンションでは大規模修繕を実施していることになるため、最低限の設備は修繕されていることが一般的です。

立地条件の良い場所に建っていることが多い

現在はマンションも増えてきましたが、30年前ではマンションが建設されているのは、主に地域の中心となるような一部の地域のみでした。

そのため、築30年のマンションは新築よりも立地の良い場所に建っていることが多いです。
今ではマンションを建てるだけのスペースが確保できないような一等地でも、築年数の経過したマンションでは住むことができます。

新築より比較的安価で購入できる

築30年のマンションは、前述のように立地の良い場所にあることが多いため、新築で購入する場合は高値が予想されます。
しかし、築年数の経過から大規模修繕をしていても新築よりは購入価格は下がります。
そのため、築30年のマンションは立地条件や住みやすさを考えるとかなり安価で購入できるのです。

築30年のマンション・デメリット

築30年のマンションは、場合によって金額のかさむ工事等が必要となる点がデメリットです。
ここからはデメリットに関して3つご紹介するので、目を通しておきましょう。

築30年のマンション・デメリット
  • 住宅設備の取り換えが必要となる場合がある(金銭面の負担増)
  • 入居者用駐車場の高さ制限があることが多い
  • 入居後すぐに大規模修繕が始まるかもしれない
築30年のマンション・デメリット
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住宅設備の取り換えが必要となる場合がある

築30年のマンションで想定されるデメリットとして、修繕費用にお金がかかる点が挙げられます。
例えば、浴室設備(風呂釜、シャワー、床、タイルなど)やトイレ、洗面台など、水回りの交換が必要な場合が多いです。

そのまま使うこともできますが、30年前に設置された住宅設備では修理するよりも取り換えた方が安く済むケースもあります。
金額にもよりますが、修理するために必要な30年前の材料や部品が入手できないケースも少なくありません。

入居者用駐車場の高さ制限があることが多い

築年数の経過したマンションに付属している機械式駐車場では、パレットと呼ばれる車を乗せる台の高さが1,550mmまでに限定されていることがほとんどです。
つまり、今では多く見かけるようになった背の高い軽自動車は、マンションの機械式駐車場には高さ制限のため入庫できません。

平置き駐車場の場合は高さを気にすることはありませんが、地域の中心部にあるマンションでは機械式駐車場を併設していることが多いです。
そのため、マンションに付属している駐車場に車を停めたいと考えている方は必ず高さ制限を確認しましょう。

入居後すぐに大規模修繕が始まるかもしれない

前述のとおり、マンションの大規模修繕は12年前後を目安に行われます。
そのため、築30年のマンションを購入してすぐに大規模修繕が始まることもありえるでしょう。

大規模修繕に関するルールは、マンションの管理組合等が決めてよいことになっています。
12年前後というのはあくまで目安であり、必ずしも12年周期でするように定めているわけではありません。

例えば、築30年のマンションであっても、15年周期で大規模修繕を行っているのであれば2回目の修繕が始まる頃となります。
このデメリットを最小限にするには、購入前に大規模修繕について不動産屋に確認しておくことをおすすめします。

築30年マンションを購入する注意点

築30年のマンションは立地が良いことが多く、新築よりも安価で購入できることから中古住宅市場でも人気です。
また、築30年でも安全性が高いため、条件が合えば購入したい人も少なくないでしょう。
ここからは、築30年のマンションを購入する際の注意点について解説します。

築30年のマンションを購入する注意点
  • 修繕積立金について必ず確認しよう
  • マンションの空室状況について確認しておく
  • 自由なリフォームやリノベーションができない場合がある
  • 住宅ローンや住宅ローン控除について確認しておく

修繕積立金について必ず確認しよう

マンションを購入すると、その購入費用とは別にマンションの管理組合等に支払う修繕積立金が必要となります。
この修繕積立金を基にして、マンションの共用部分等の修繕や維持管理が行われます。

修繕積立金が大きく減少している状態でマンションを購入すると、購入後の金銭的なトラブルとなる場合があるため注意が必要です。
具体的には、必要な修繕費が足りないために一時的に費用を追加する必要があるなどです。

この他にも、修繕積立金が値上げされるリスクや、必要な環境整備がされないという事態もありえます。
中古マンションを購入する場合は、必ず修繕積立金について確認しておきましょう。

築修繕積立金について必ず確認しよう
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マンションの空き室状況について確認しておく

前述の修繕積立金と関連して、中古マンション購入時には他の空室状況について確認するようにしましょう。

空室となっている部屋の多い中古マンションでは、必要な修繕積立金が集まっていないリスクがあります。
修繕積立金が足りない場合、毎月納めている積立金とは別に入居者が負担すべき金銭が出てくる恐れもあります。
空室の多い中古マンションの場合も、必ず事前に修繕積立金について確認して把握しておきましょう。

マンションの空き室状況について確認しておく
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自由なリフォームやリノベーションができない場合がある

中古のマンションを購入する場合、近年建設されたマンションよりも天井が低い場合があります。
また、居室内に移動できない柱や壁があることも少なくありません。

中古のマンションを購入してリフォームやリノベーションをしたい方は、どこまで工事が可能なのか事前に確認しておきましょう。

自由なリフォームやリノベーションができない場合がある
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住宅ローンや住宅ローン控除について確認しておく

中古マンションの購入でも、条件を満たせば住宅ローンの契約が可能です。
関連して、一定の要件のもと住宅ローン控除の適用を受けることもできます。

ただし、建物の構造や一定基準を満たしていない場合は住宅ローンを使えず、住宅ローン控除も受けられないことがあります。
とくに住宅ローン控除に関しては、長期的に節税効果のある大きな優遇措置です。

マンション購入前には、必ず住宅ローンについて確認しておきましょう。

住宅ローンや住宅ローン控除について確認しておく
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築30年マンションの住宅ローンと節税について

築30年のマンションを購入する際、気になるのが住宅ローンや住宅ローン控除などの税務に関してです。
住宅ローン控除などの税務に関しては、購入後に判明しても手遅れである場合もあります。
いずれも事前に把握し、対策をしておきましょう。

築30年のマンションでは住宅ローンが通りにくい場合がある

築30年のマンションなど、築年数が経過しているマンションでは住宅ローン審査が通りにくい場合があります。
これは、新築住宅と比べて担保価値が低いと想定されるためです。

通常、金融機関で住宅ローン契約を結ぶ際、購入するマンションの専有部分に抵当権と呼ばれる権利がつきます。
抵当権とは、もし購入者が約束通りに住宅ローンを払えなかった場合、担保としているマンションの部屋を金融機関が貰うことになるという意味です。
そして、金融機関はそのマンション売却資金を払えなかった残債部分に充当するようなイメージとなります。
この担保価値が、新築よりも中古の方が低いことが一般的であるため、金融機関にとっては融資がリスクになる場合もあります。

これらのことから、築年数が経過しているマンション購入に際しては、返済期間が新築よりも短く設定される場合や、借り入れ可能額が低くなる傾向があるのです。
住宅ローンを利用して中古マンションの購入を検討する場合は、さまざまな金融機関でシミュレーションをして比較検討することをおすすめします。

築30年のマンションでは住宅ローンが通りにくい場合がある
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住宅ローン控除の適用を受けるには

築30年のマンションを住宅ローンを使って購入する場合、全ての場合で住宅ローン控除の対象となるわけではありません。
具体的には、次の要件を満たす必要があります。

住宅ローン控除・適用要件
  • 床面積が50㎡以上の住宅であること
  • 1982(昭和57)年以降に建築された住宅であること
  • 同一生計にある家族から購入したものではないこと
  • 贈与物件ではないこと
  • 控除を受けようとする年の所得が2,000万円以下であること
  • 10年以上の返済期間で住宅ローンを組んでいること
  • マンション購入後6か月以内に住み始め、12月31日まで継続して住み続けていること

1982年以降に建築された住宅についてですが、これ以前の住宅であっても「耐震基準適合証明書」や「既存住宅売買瑕疵担保責任保険の付保証明書」など、耐震性を確保している証明書がある場合は住宅ローン控除の適用を受けられます。

住宅ローン控除の適用を受けるには
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中古マンションを対象とした住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除の適用を受ける場合、毎年末時点の借入残高の0.7%が最大10年にわたって控除されます。
なお、新築住宅の場合は最長13年控除の対象となります。

まとめ

築30年のマンションは、法定耐用年数や鉄筋コンクリートの寿命などから考えると十分に寿命は長いです。
築30年では大規模修繕を少なくとも1~2回は済ませていることが多く、新耐震基準も満たしているため、安全面や環境面ではリスクが少ないと考えられます。
また、新築では建てられないような好立地に築30年のマンションが所在している場合もあり、住みやすさからも近年人気です。

修繕積立金やリフォームなど、入居後の金銭的なトラブルを未然に防ぐためにも、購入前には本記事でご紹介した注意点などを必ず確認しておきましょう。

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この記事を書いた人

大野 翠(おおの みどり)

大野 翠(おおの みどり)

合同会社芙蓉宅建FPオフィス代表。
約6年の企業内FPを経て、2016年に金融商品の販売をしない独立系FPとして開業。
2021年に法人化。保有資格は宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級FP技能士。
大手資格スクールにて宅建及びFPの講師として登壇する傍ら、初心者向けマネーセミナーを毎月2会場で開催。
金融や不動産など幅広く旬な話題をテーマとし、これまでの参加者は延べ500名を超えている。

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