リースバックと通常の不動産売却なら、どっちがお得？｜不動産の価値×売却コンテンツ

リバースモーゲージとの違い

リースバックと同じようなサービスでリバースモーゲージと呼ばれるローンサービスがあります。リバースモーゲージとは、自宅を担保に銀行から融資を受け、自分が亡くなったら家を売って清算するシニア向けのローンとなります。

リバースモーゲージは自宅を担保に設定し、融資を軸とする金融商品となります。そのため、契約成立時点では所有権が移転することはありませんが、所有者が亡くなった後に売却するため、最終的に権利が移転します。一方で、リースバックは契約成立時点で自宅を売却するため、所有権がその場で移転します。

また、リースバックでは自宅売却時の代金のすべてが一度に支払われます。一方で、リバースモーゲージは自宅を担保として年金の形態で融資を受ける仕組みとなっています。

他にも、リバースモーゲージは、資金の用途が老後の生活費に限定されており、サービスの利用にあたって年齢制限があります。金融機関によって異なりますが、一般的に55歳～80歳の範囲で利用可能です。一方でリースバックには、資金の用途に制限はなく、サービスの利用にあたって年齢制限がありません。

リースバックとリバースモーゲージは、どちらも自宅を担保に資金を調達しながら住み続けられる仕組みですが、所有権移転のタイミングや資金の受け取り方の点で違いがある、と覚えておきましょう。

リースバックの流れ

リースバックの具体的な流れは、以下のとおりです。

• ステップ1：リースバックを扱っている不動産会社に申し込みを行い、審査を受ける
• ステップ2：審査に通ったら、売買契約を締結する
• ステップ3：売買代金を受け取る
• ステップ4：賃貸借契約を締結する
• ステップ5：売却した自宅に住み続ける

リースバックを扱っている不動産会社は、売主の自宅を買い取った後に、賃貸物件として運用します。リースバックは自宅を売ったお金を受け取って、そのまま住み続けられる非常に魅力的な仕組みなので、通常の方法で売却するよりもお得だと思われがちです。

結論からお伝えすると、リースバックはまとまった資金を調達しながら住み慣れた家に住み続けられる便利なサービスですが、通常の売却と比べると間違いなく損をしてしまいます。そのため、リースバックのメリットや注意点を理解したうえで利用するようにしましょう。

売却後でも住み続けられる

リースバックの最大のメリットは、自宅を売却した後も住み続けられることです。通常、不動産を売却した場合は、売った後に退去しなければなりません。しかし、リースバックでは、売却と同時に賃貸借契約を結ぶことで、売った後も同じ家に住み続けることができます。

簡単に現金化できる

リースバックを利用すれば、サービスを提供する不動産会社が自宅を直接買い取ってくれるので、素早く簡単に現金化できます。

年齢・年収制限がない

リースバックには、年齢や年収制限がありません。そのため、自宅を持っている方なら誰でも利用できます。

お金の使い道に制限がなく自由に利用できる

リースバックで得た資金は、用途に制限がありません。老後資金や教育費、事業資金、借金の返済など、自由に利用できます。

売却したことが周知されない

リースバックは、通常の不動産売却とは異なり、売却したことが近所に周知されません。そのため、周囲に知られずに自宅を売却したい人におすすめです。

将来買い戻すことができる

リースバック契約の終了時には、リースバック会社から自宅を買い戻すことができます。そのため、将来的に自宅を再び所有したい人におすすめです。

売却価格が非常に安い

リースバックの最大の注意点は、通常の不動産売却価格よりも非常に安いことです。どの程度まで安くなるのかというと、通常での売却価格の半額程度となります。たとえば、不動産会社に仲介で売却する価格を100％と仮定すると、買取売却が80％、リースバックが50％となります。

リースバック・買取ともに、不動産会社に直接買い取ってもらう方法なので、素早く現金化できますが、市場価格と比べると非常に安くなってしまいます。

家賃が高い

リースバックは、相場よりも安く売却することになるにも関わらず、家賃は相場並み、もしくは高いケースが多いです。そして、家賃は賃貸契約の更新のたびに上がっていくかもしれないというリスクもあります。

住宅ローンの残債が多いと利用できない

住宅ローンの残債が多い場合、リースバックは利用できない可能性があります。一方で住宅ローンが残っていても、売却したお金で完済できるのなら、リースバックは利用できます。

立ち退き要求のリスクがある

リースバックでは、自宅を売却すると所有権を失って賃貸契約になるため、立ち退き要求を受ける可能性があります。借りる期間が定められた定期借家契約を交わした場合、契約期間が終了すると立ち退きとなります。立ち退きを要求された場合は、速やかに応じなければいけません。

買い戻しの金額が非常に高い

リースバック契約の終了時には、契約先の不動産会社から自宅を買い戻すことができます。しかし、買戻しの金額は、売った価格よりも1割～3割増しで高くなります。そのため、買い戻したくても高すぎて買えないといったケースが非常に多いです。

リースバックが向いている人

リースバックは、住み慣れた自宅を引っ越したくないけど、どうしても一時的にまとまった現金が必要という方に向いています。そして、今は金銭的に厳しいけれど、将来まとまったお金が手に入るので、買い戻すことができるという方におすすめです。

通常の不動産売却が向いている人

今までの住み慣れた自宅に固執しない人は、通常の売却方法が向いています。なぜなら、不動産仲介での売却方法なら、リースバックと比べて2倍の金額で売ることができるからです。仲介での売却方法でも、相場価格で売却すれば、比較的早く売れていきます。

なかなか売れない場合は1割程度の値下げをすることになります。リースバックのように相場の半額程度といったことにはならないため、少しでも高値で売りたい方は通常の売却がおすすめです。

諸事情により、どうしても早く現金化したいという場合は、リースバックではなく不動産会社に買い取ってもらいましょう。不動産買取ならリースバックよりも高く買い取ってもらえます。もし、リースバックを利用する場合は、次の2つの価格を見比べて、契約するべきなのか考えてみましょう。

• リースバックの買取価格
• 通常の方法で売却する場合の価格

リースバックは、どのような不動産会社でも実施しているわけではありません。そのため、契約の際はリースバックをサービスとして扱っている不動産会社に相談しましょう。