不動産の親族間売買とは?売却時の注意点や価格設定の仕方|不動産の価値×売却コンテンツ

不動産の親族間売買とは?売却時の注意点や価格設定の仕方

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2024.02.02

不動産の親族間売買とは?売却時の注意点や価格設定の仕方|不動産の価値×売却コンテンツ
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親子や兄弟など親族間で売買する場合、お互いに都合が良いように契約内容や価格を決められるため、お得に売却できると思われることも少なくありません。しかし、親族間売買だからといって非常に安い価格設定にしたり、契約書なしで手続きを進めていると大きなトラブルに発展してしまう可能性が高くなります。

場合によっては、脱税行為に該当してしまったり、契約後に親族間トラブルが発生したという事態になりかねません。今回は、親族間売買とはいったいどのような取引方法なのか、売却時の注意点や価格設定のポイントについてわかりやすく解説していきます。

目次

親族間売買とは?

親族間売買とは、親族同士で不動産を売買することをいいます。一般的に親族間売買という用語は不動産や資産などの財産に関する取引に使われ、直系の家族や親戚同士が相互に資産を譲り受けたり、売買を行ったりすることを意味します。

たとえば、親や兄弟姉妹、叔父叔母、いとこ、祖父母、孫などと不動産取引する場合が親族間売買に該当します。

親族間売買とは?
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親族間売買に該当する親族の範囲

親族間売買における親族の範囲は、民法上で定められた定義とは少し異なります。民法第725条では「親族の範囲を6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」と定めています。一方で、不動産における親族間売買では、税務署は親族について明確な範囲を決めていません。

そのため、親族間売買においては民法上の親族の範囲よりも広く、遠い親戚との取引も含まれていると考えられています。

親族間売買をするケース

親族間売買は、主に次のようなケースで行われます。

  • 相続対策のために子供に財産を譲りたい。
  • 親が亡くなる前に土地を自分名義にしたい。
  • 叔母の持分を買って土地の権利を取得し、そこに2世帯住宅を建てたい。
  • 次男が長男の持分を買いたい。
  • 親が住宅ローンを滞納しているため差し押さえ前に長男が実家を買いたい。

このように親族間売買をする方には、それぞれ明確な事情があります。この他にも、親族に資金援助したいという理由から親族間売買が行われることもあります。

親族間売買の3つの注意点

親族間売買には、主に次の3つの注意点があります。

親族間売買の3つの注意点
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注意点1:価格が安いと贈与とみなされる

親族の誰かに不動産を売却する場合、利益を出さないようにできるだけ安く売ってあげようと考えるのが一般的です。たとえば、親から手持ちのお金が少ない子供に時価2000万円の戸建を売却する場合、200万円で売ってあげようと考えてもおかしくありません。

しかし、親族間売買で売買価格が通常の相場よりも安いと贈与とみなされる可能性があります。贈与とみなされた場合、売買価格と通常の相場との差額に対して贈与税が課税されます。先述の例であれば、時価2000万円と売却額200万円の差額は1800万円となるため、贈与税は1800万円の差額に対して課せられます。

不動産相場とはかけ離れた価格での売却を認めてしまうと、贈与税の支払いを逃れるための抜け道となります。そのため、国税庁は不動産の市場価格と売却価格に大きな差はないか非常に厳しくチェックしています。

注意点2: 3000万円の特別控除が使えない

不動産の売買では、さまざまな税務上の支援の仕組みがあり、条件が合致する場合は特例や控除を受けることができます。しかし、親族間売買の場合は、適用対象外となるケースが非常に多いです。

たとえば、居住用財産を譲渡した場合に適用される3000万円の特別控除は利用できません。この制度は、個人が居住している家屋を売却した場合に、譲渡所得額から最高で3000万円を控除できる特例です。

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税と呼ばれる税金を支払う必要がありますが、この特例を利用することで3000万円までの税金を0円にできます。非常にお得な特例ではありますが、親族間売買ではこの控除が適用されません。

注意点3:住宅ローンが通りづらい

親族間売買は、住宅ローンが非常に通りづらいです。一般的に、親族間売買時に住宅ローンが利用可能な銀行はほとんど存在しないと考えてよいでしょう。住宅ローンが非常に通りづらい理由は、贈与税の抜け道となる可能性がある点や借りたお金を異なる目的で利用される可能性が高いからです。

親族間売買では、住宅ローンで借りたお金を売主に支払うことになっていますが、実際は買主が使い込んでしまう可能性は十二分に考えられます。本来、住宅ローンは新築・中古のマンションや一戸建てを取得するために金融機関から借り入れる制度です。そのため、住宅購入以外のことで使われてしまうと住宅ローンの提供目的から外れてしまいます。

そして、住宅ローンを借りる際は一般的に保証会社を利用することになります。しかし、保証会社は親族間での取引を認めていないため、住宅ローンを利用したくても審査に通る可能性は非常に低いです。そのため、現金での取引やノンバンクからの借り入れとなります。

親族間売買の価格設定の大事なポイント

親族間売買では、適切な価格設定が非常に重要です。次に価格設定の2つの大事なポイントについてご説明します。

親族間売買の価格設定の大事なポイント
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ポイント1:相場より安くしすぎない

親族間売買のもっとも大事なポイントは、価格設定を相場よりも極端に安くしすぎないことです。先ほどもお伝えしたように親族間売買で売買価格が通常の相場よりも安いと贈与とみなされる可能性があります。

しかし、「相場よりも○○○○円安ければ、贈与とみなします」という明確な基準が決まっているわけではありません。具体的には、立地条件や建物の状態によって算出されるほか、自治体によって考え方は異なります。

ポイント2:売却価格の目安

贈与とみなされるはっきりとした価格の基準はありませんが、売却価格の目安というものがあります。売却価格の目安は、相場の7割~8割程度です。税務署から見られたときに、「親族間売買だから少しだけ安くしているのだな…」と理解できる範囲での価格設定が大事なポイントです。

逆に相場の5割以下や極端に安く価格設定してしまうと贈与と判断される可能性が高くなります。

親族間売買で贈与とみなされない3つの価格の決め方

親族間売買で贈与とみなされない価格の決め方として代表的な方法を3つご紹介します。

親族間売買で贈与とみなされない3つの価格の決め方
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路線価を基準に決める

まずは、路線価を調べましょう。路線価とは、国税庁が毎年発表している主要道路に面した1㎡あたりの土地価格のことです。土地には定価がありません。そのため、不動産取引において税金を計算する際は、参考価格として路線価が利用されます。

親族間売買の場合、路線価を基準に不動産を売却すれば贈与したとみなされるリスクが低くなります。自分の土地の路線価は、国税庁の路線価図・評価倍率表で調べられます。

不動産鑑定士に鑑定を依頼する

親族間売買で贈与とみなされたくなければ、不動産鑑定士に鑑定してもらいましょう。不動産鑑定士は、土地や建物の適性価格を決定する国家資格を有しています。

税務署に提出した売却価格が適正だったと認めさせるためにも、不動産鑑定士に価格を見極めてもらいましょう。ただし、不動産鑑定士に仕事を依頼すると最低でも数十万円の費用が必要です。

不動産会社に査定を依頼する

複数の不動産会社に査定を依頼して査定額の8割程度の価格で売却するという方法も有効です。親族間売買でも相場の8割程度なら妥当な価格として判断される可能性が高くなります。

ただし、査定の相談先が1社だけだと信頼性が低いため、複数の不動産会社に査定を依頼して適正な売却価格の平均を算出するようにしてください。適正な売却価格が決まったら実際の取引に移ります。

親族間売買では不動産会社に仲介を依頼するべき理由

親族間売買であっても取引する場合は、不動産会社に仲介手続きを依頼することをおすすめします。次に、不動産会社に仲介を依頼するべき理由についてご説明します。

親族間売買では不動産会社に仲介を依頼するべき理由
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税務署から贈与とみなされる可能性が下がる

親族間売買の場合、税務署から贈与とみなされないように価格設定をする必要があります。不動産会社に仲介を依頼することで、適正な価格設定が可能になるのはもちろん、税務署に対して売却価格の正当性を主張できます。

そして、税務署に対して贈与ではなく正当な売買であることを主張するには契約書が必要です。不動産会社に仲介を依頼することで、そのような不動産の契約書類の準備をすべて任せられるため、複雑な手続きがあっても安心できます。

売却後のトラブルを予防できる

親族間売買では、他の親族から「次男に相続させたくないから売買手続きを行ったの?」や「売買って言ってるけど、極端に安く売ったんでしょ?」と疑われることがあります。このような疑いは、親族間の大きなトラブルの原因となってしまいます。

しかし、不動産会社が仲介に入ることで手続きのプロが契約書を通して正当な価格で取引したことを証明できます。また、引き渡し物件に欠陥が見つかったり、契約内容の認識にズレがあった場合にトラブルを防ぐことも可能です。

仲介手数料が安くなる可能性が高い

親族間売買で不動産会社に仲介を依頼する場合、多くの人は「すべての手続きを任せられるのは安心だけど仲介手数料が高いのでは?」と思っています。親族間売買の場合は、すでに売主と買主が決まっているため、仲介手数料を値引いてもらえる可能性が非常に高いです。たとえば、通常が3%の仲介手数料でも1%でやっている不動産会社があります。

【まとめ】親族間売買は丁寧にサポートしてくれる不動産会社に相談しよう

親族間での不動産売買は、想像しているよりもトラブルが生じやすい取引方法です。親族間売買で売買価格が通常の相場よりも安いと税務署に贈与とみなされてしまいます。その際、不動産会社へ仲介を依頼すれば親族間売買の取引の安全性が保障され、あらゆるトラブルが起きる前に防いでくれます。不動産会社への依頼は安全性の保障とトラブル防止のための保険と考えるといいかもしれません。

ただし、相談先となる不動産会社の中には「親族間売買だから詳細な調査は実施しない」という会社も存在します。そのため、親族間売買について相談する際は、しっかりとサポートしてくれる信頼できる不動産会社を選ぶことをおすすめします。

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この記事を書いた人

グーホーム編集部

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これからの不動産の価値を伝えるため、沖縄を駆け回るグーホーム編集部。
不動産の専門家や沖縄に精通する皆様に支えられ、執筆を楽しんで行っています。
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