空き家を高く売却する方法と手続き・税金について
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2024.05.17
![空き家を高く売却する方法と手続き・税金について|不動産の価値×売却コンテンツ](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/main.webp)
空き家を管理している方のなかには、「固定資産税の支払いから解放されたい」「空き家の管理が大変なので処分したい」といったことを思いつつも、なかなか売却という行動に移せていないという方も多いでしょう。
空き家を売却しようと思っても、建物の所有権を共有している親族が遠方に住んでいたり、不動産の具体的な相場が分からなければ売却手続きを進めることができません。
今回は、空き家を高く売りたいと考えている方に向けて、高値での売却方法や基本的な手続きの流れ、相談先の選び方についてわかりやすく解説していきます。
目次
空き家を高く売却する4つの方法
空き家を高値での売却につなげるにはどうすればよいのでしょうか。まずは、空き家を高く売却するための具体的な4つの方法についてご説明します。
![空き家を高く売却する4つの方法](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/sub-01.webp)
古家付き土地として売却する
空き家を取り壊すことなくそのまま売却することを「古家(ふるや)付き土地での売却」といいます。古家付き土地としての売却なら取り壊し費用を負担せずに固定資産税を抑えた状態で売却アプローチを開始できます。
一方で、不動産に一定の資産価値が残っている場合は、中古住宅としての売却を検討しましょう。中古住宅は、建物の立地や面積などが同じ条件の新築物件と比べると非常に安く買えるため、家の購入費用を少しでも抑えたい方に人気があります。また、自分の働き方や将来の暮らしに合わせて、自分好みのレイアウトや内装にリフォームしたいと考える方からの人気も期待できるでしょう。
取り壊して更地にして売却する
古くなった空き家を取り壊して売ることを「更地での売却」といいます。古民家としての価値も認めづらいほどに外観や内装の老朽化が著しく進んでいる場合や、リノベーションやリフォームに多額の費用が必要な場合は、更地にしてからの売却がおすすめです。更地にするための建物の取り壊し費用は売主負担になりますが、買主側の取り壊し費用の負担がないことから、買い手が見つかりやすい+早めに売れやすいという大きな特徴があります。また、交渉の仕方によっては売却額に上乗せできるケースもあります。(取り壊し費用の詳細については、後述の「取り壊し費用」を参照してください。)
古家付き土地と比べて更地での売却は、都市計画税や固定資産税が高くなります。令和3年度までに建てられた建物については土地の都市計画税や固定資産税は減税措置の対象となります。一方で、建物を取り壊してしまうと減税措置の対象外となって都市計画税は3倍、固定資産税は3~6倍に上昇する点に注意が必要です。
買取の仕組みを利用して売却する
空き家を高く売りたいのなら不動産会社の買取の仕組みを利用するのも有効な選択肢のひとつです。買取とは、不動産会社に直接空き家を買い取ってもらう方法で、不動産を少しでも早く売ってしまいたいと考えている方におすすめです。
一般的な不動産仲介による売却方法では買主が決定するまでに最低でも数ヵ月から半年の期間を要します。また、築年数が経過しており立地条件も悪ければ、売却アプローチの期間が想像以上に長引いてしまうこともあります。
しかし、不動産売却において買取の仕組みを利用すれば、最短1週間で売買契約の締結が終わり、手付金を除いた残余額の支払いについては1ヵ月もあれば完了します。ただし、買取による方法は不動産相場の8割程度での売却になります。
空き家バンクを利用して売却する
空き家は、「空き家バンク」を使うことでも売却できます。空き家バンクとは、空き家を貸したい人と借りたい人、売りたい人と買いたい人をつなぐサービスのことです。全国の市区町村の自治体が主体となって物件の取引を促進するために運営されており、空き家・空き地の担当部署が窓口となり目的に合わせてマッチングを行ってくれます。
空き家バンクの大きな特徴は、不動産会社が扱えないような物件でも、売り物件の情報として扱ってもらえることです。たとえば、空き家バンクならすぐに売却する予定のない物件やたくさんの残留物がある状態でも、売り物件として掲載できます。
そのため、現在は空き家を倉庫代わりに利用しており、本格的な売却アプローチに移行できない場合は、空き家バンクの利用をおすすめします。
空き家売却の基本的な流れ
空き家の基本的な仲介による売却の流れは、次のとおりです。
- ステップ1:空き家の価格を不動産会社に査定してもらう
- ステップ2:不動産会社と媒介契約を締結する
- ステップ3:売り出し価格を決めて売却アプローチを開始する
- ステップ4:買主を見つけて売買契約を締結する
- ステップ5:引き渡しを行って残代金を受領する
- ステップ6:確定申告を行う
不動産会社の査定では、3ヵ月程度で売却可能な金額が算出されます。査定額は、その不動産会社独自の方法で売り出し価格の算出が行われるため、会社を変えれば金額も変わります。
仲介を依頼する不動産会社が見つかったら媒介契約を締結します。不動産会社が買主を見つけてくれるため、売買契約の締結が完了したら空き家の引き渡しが行われます。売買契約の内容によっては確定申告の必要があるため、不動産会社に税金の支払いについても相談しましょう。
![空き家売却の基本的な流れ](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/sub-02.webp)
空き家の売却で発生する費用
空き家を売却する場合、売主は仲介手数料と取り壊し費用の負担が必要です。次に、空き家の売却で発生するそれぞれの費用についてご説明します。
![空き家の売却で発生する費用](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/sub-03.webp)
不動産会社に支払う仲介手数料
空き家の売却を不動産会社に依頼し、買主が見つかり売買契約が成立した場合は、成果報酬として仲介手数料の支払いが必要です。不動産会社に支払う仲介手数料は、宅地建物取引業法によって売主に請求可能な上限額が決まっています。
仲介手数料が非常に安く設定されている不動産会社もありますが、ほとんどのケースで上限額どおりの請求が行われます。宅地建物取引業法によって定められた仲介手数料の上限額の詳細は、下記のとおりです。
売却金額(税別) | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下の場合 | 売却価格×5%(税別) |
200万円超から400万円以下の場合 | 売却価格×4%+2万円(税別) |
400万円を超える場合 | 売却価格×3%+6万円(税別) |
空き家の状態によっては、売却金額が400万円以下となってしまうこともあるでしょう。その場合は、「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」によって不動産会社は18万円を上限とした仲介手数料を売主に請求できます。
この特例は空き家が老朽化している場合や依頼された物件が遠方にある場合、通常の不動産売買と比べて調査に多くの経費を必要とするため、不動産会社の採算を合わせるためのものです。
このように空き家を売る際は、仲介手数料が最大18万円加算される可能性があるため、売却の仕方には注意しましょう。
取り壊し費用
空き家の取り壊し費用は、築年数や建物の立地、隣接する家との距離によって変わってきます。一般的な取り壊し費用の相場は、下記のとおりです。
- 木造:3~5万円/坪
- 鉄骨造:5~7万円/坪
- RC(鉄筋コンクリート)造:6~8万円/坪
これらの取り壊し費用の目安は、空き家の廃棄物処理費用や取り壊し後の土地の整地費用を含んでいます。たとえば、40坪の空き家の取り壊しに必要な費用の目安は、次のようになります。
40坪の取り壊し費用の目安
- 木造:120万円~200万円
- 鉄骨造:200万円~280万円
- RC(鉄筋コンクリート)造:240~320万円
なお平屋の場合は、2階建と比べてコンクリート施工の基礎エリアが大きいため、取り壊し費用も高くなります。また、敷地に面している前面道路が狭く重機の搬入が困難な住宅密集地の場合も、人力で取り壊し作業を進める必要があるため費用が高くなります。もし、少しでも取り壊し費用を抑えたい場合は、次の方法が有効です。
- 複数の取り壊し業者に相見積をとる
- 空き家内の残置処分を自分でやっておく
- 自治体で公開されている補助金制度を利用する
- 空き家の取り壊しを閑散期に依頼する
取り壊し費用の支払いが難しい場合は、空き家の取り壊しローンの利用をおすすめします。借入可能額や金利については金融機関によって異なるため、気になる場合は自宅近くの銀行へ相談に行きましょう。
空き家の売却で発生する3つの税金
空き家の売却では、主に3つの税金の支払いが必要となります。それぞれの税金の特徴についてご説明します。
![空き家の売却で発生する3つの税金](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/sub-04.webp)
譲渡所得税
譲渡所得税とは、空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に課税される税金のことで、不動産譲渡税と呼ばれることもあります。譲渡所得は、利益額に応じて住民税や所得税などの税金を課せられることが法律で決まっています。空き家の譲渡所得は、次の計算式によって求められます。
空き家の譲渡所得を算出する式
譲渡所得=物件の売却金額(譲渡収入金額)-【物件を買った金額(取得費)+売却に必要となった諸費用(譲渡費用)】
譲渡所得を求めることができれば、対象となる住民税や所得税の税率をかけることで税金の支払い額を算出できます。これらの税率は、空き家の所有期間によって次のように決まってきます。
空き家の所有期間 | 住民税 | 所得税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
所有期間が5年以下の場合 | 9% | 30% | 0.63% | 39.63% |
所有期間が5年を超える場合 | 5% | 15% | 0.315% | 20.315% |
5年以下の所有期間で得た売却額は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得と呼ばれます。上記の表を見ればわかるように、長期譲渡所得に課せられる税率の方が約20%も安くなっています。
印紙税
印紙税とは、売買契約書や抵当権抹消登記などの課税書類の作成に課せられる税金のことです。印紙税の税率は、書類の種類や金額によって異なります。2024年3月31日までに作成された不動産売買契約書は、租税特別措置法で定められた軽減措置の対象となっており、印紙税に課せられる税率と軽減税率は次のように決まっています。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円超~50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
不動産譲渡に関する契約書のうち、書類に記載された売買金額が10万円以下のものについては、軽減措置の対象(200円)とはなりません。また、売買金額が1万円未満のものについては非課税となっています。
相続登記費用
相続によって得た空き家を売却する場合、相続登記が必要となります。相続登記費用とは不動産の名義を相続人に変更する手続きで必要となる費用のことです。相続登記によって法務局に不動産名義の変更を行うことで、自己所有の不動産として売却できるようになります。相続登記の手続きでは、次の費用が発生します。
申請書類の取得費 | 数千円 |
登録免許税 | 固定資産税評価額に対して0.4% |
司法書士への依頼 | 5~15万円 |
登録免許税については、相続登記をせずに死亡した場合や不動産価額が100万円以下の土地に限っては免税措置が設けられているため、詳しくは国税庁の公式サイトをご参照ください。
Info登録免許税の免税措置を詳しく調べる
【国税庁】相続登記の登録免許税の免税措置について空き家を高く売るための3つのポイント
次に、空き家を高く売るために役立つ3つのポイントをご説明します。
![空き家を高く売るための3つのポイント](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/sub-05.webp)
取り壊しの必要性は不動産会社に判断してもらう
空き家を売却する際には、取り壊しの必要性があるかどうかを判断する必要があります。空き家を取り壊すべきかについては、不動産会社に査定を依頼してから判断することをおすすめします。
なぜなら、空き家であっても取り壊さずに売却できるケースがたくさんあるからです。そのため、空き家の取り壊しについては自分の考えで決めてしまわず、不動産会社のアドバイスや具体的な売却計画を聞いてから決断しましょう。
もし、取り壊す必要がある場合は、規模にもよりますが最低でも100万円程度は必要となります。そのため、取り壊す必要性がなかった空き家を自分の判断で壊してしまうと、費用が無駄になって売却利益を下げる要因となります。
不動産会社は、空き家の立地や状態、周辺の環境などを考慮して取り壊しの必要性を判断します。空き家の取り壊しに対する考え方は不動産会社によって異なりますので、できる限り複数の会社に売却査定の依頼をすることをおすすめします。
家財道具を処分して売却する
空き家を売る際は、家具や家電、美術品などの家財道具をすべて処分してから売却することが一般的です。空き家に家財道具を残したままにしていると、すぐに売却できる物件ではないと不動産会社に判断されて売却に向けての積極的な協力が得られないことがあります。
そのため、空き家を少しでも高く売りたいのなら、可能な限り不動産会社の協力が得られるように不要な家財道具を処分しておくことが大切なポイントとなります。売却査定の時点で、しっかりと空き家の片づけが終えられている状態になっていれば、不動産会社も積極的に売却に向けて手伝ってくれやすくなります。売却すると決断したのであれば、まずは家財道具の処分から始めましょう。
住宅用地の軽減適用を利用する
空き家を取り壊して売却する場合は、更地にするタイミングについて注意する必要があります。なぜなら、空き家を取り壊して更地にしてしまうと税負担を軽減できる減税措置の対象外となって固定資産税の支払いが増加する可能性があるからです。
基本的に固定資産税は、毎年1月1日の土地の状態で請求額が決まります。もし、空き家を取り壊して更地で1月1日を迎えてしまうと1年間は住宅用地の軽減が適用されなくなってしまいます。そのため、空き家の取り壊しが必要と判断された場合は、1月2日以降のタイミングで実施し、固定資産税の支払いを抑えた状態で売却しましょう。
空き家売却の相談先となる不動産会社の選び方
空き家売却は、一般の不動産売却と比べて難易度が高いため、実績と経験がある不動産会社に相談することをおすすめします。実績と経験がある不動産会社は、空き家の売却ノウハウを豊富に持っており、スムーズに売却を進めることができます。
しかし、多数の不動産会社の中からどこに査定依頼をするべきか、わからない方も多いでしょう。空き家の売却について実績と経験があるかどうかは、不動産会社に以下のポイントを問い合わせることで確認することができます。
![空き家売却の相談先となる不動産会社の選び方](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/sub-06.webp)
地域に密着しているか
空き家は、立地や周辺環境によって売却価格が大きく左右されます。そのため、売却する空き家の地域に密着した不動産会社に相談すると、より有利な条件で売却できる可能性が高くなります。
不動産は公園や駅までの距離、日照時間や地形、インフラ整備の状況などによって価格が変動します。マップに掲載されていない新道路開通や公園の設置計画、平日の道路状況など、その地域特有の雰囲気はそのエリアで暮らす不動産会社でしかわかりません。
その地域に密着しているかどうか、不動産会社のホームページやチラシなどから、不動産会社の所在地や取り扱っている物件の地域などをチェックしましょう。
相談への対応が丁寧か
空き家売却は大きな決断を伴うため、相談に対して丁寧に対応してくれる不動産会社を選ぶことが大切です。不動産会社のホームページやチラシには、会社概要やサービス内容、営業担当者のプロフィールなどが記載されています。これらの情報を確認することで、不動産会社の雰囲気や営業担当者の仕事への姿勢をある程度把握できます。
また、Google検索結果上の口コミやSNSなどで、不動産会社の評判を調べることもできます。たとえば、「こちらの不動産会社さんは、仕事が丁寧で安心して空き家売却をお任せできました」や「空き家売却を得意としている会社で、専門的なことでもわかりやすく教えていただけました」といった口コミがあるか、1つの基準としてチェックしておきましょう。
【まとめ】空き家の売却計画について不動産会社に相談しよう
空き家の売却について、取り壊しの必要性を考慮しながら手続きを進めていくには、専門的な知識が必要です。不動産会社に相談すれば、空き家の状態に合わせてベストな売却方法を提案してもらえるため、高値で売れる可能性が高くなります。空き家を高値で売却できれば、取り壊しの必要があったとしても、費用の回収がしやすくなります。
空き家売却について相談できる不動産会社が決まっていないのなら、グーホームの一括査定を利用しませんか。「空き家を少しでも高く売りたい」という売主様のご要望に合わせてオペレーターがベストな不動産会社をご紹介します。空き家の査定相談は無料ですので、ぜひお気軽にご利用ください。
![【まとめ】空き家の売却計画について不動産会社に相談しよう](/fudousan/baikyaku/article/202405/img/sub-07.webp)