古民家を賢く売却するには?高値で売る方法や注意点|不動産の価値×売却コンテンツ

古民家を賢く売却するには?高値で売る方法や注意点

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2024.06.14

古民家を賢く売却するには?高値で売る方法や注意点|不動産の価値×売却コンテンツ
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古民家を売ることを考えた際、「老朽化が進んでいても売れるのか」「駅から遠く離れた田舎物件だけど、売却できるのか」といった疑問がわいてくるかと思います。

古民家は、築浅物件と比べて買主が見つかりづらいため売却が難しい不動産といわれていますが、有効な売り方を知っておけば高値で売却できます。今回は、古民家を賢く高値で売却するための方法や注意点についてわかりやすく解説していきます。

目次

古民家とは?物件の特徴について

そもそも、古民家とはどのような物件なのでしょうか。正確にお伝えすると、古民家には正式な定義というものは決まっていません。しかし、古民家鑑定士の公式本「古民家の調査と再築」には、築50年以上が経過した木造家屋といった定義で説明が記載されています。

古民家とは?物件の特徴について
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民俗学で使われる古民家という言葉

古民家は物件であるため、不動産との関連性が高い言葉ですが、建築基準法にはその定義を説明する記載がありません。古民家という言葉について詳しく調べていくと、庶民の伝統的なライフスタイルや文化、社会、歴史的な出来事を明らかにする民俗学や日本建築史で定義されていることがわかります。

民俗学や日本建築史では、「古民家は一般庶民が住まいとしている古い民家、古い建物」と説明されています。しかし、民俗学においては古い民家、古い建物というだけで築年数による区別はありません。

古民家鑑定士の定義

古民家鑑定士の公式本では、古民家について次のように定義されています。

  • 日本の登録有形文化財制度に合わせて築50年以上の建築物とする
  • 木造民家で伝統構法と在来工法で建築されたものに限定する

つまり、以下のような特徴があれば古民家と表現しても問題ないと考えられます。

  • 建築してから50年以上が経過している
  • 日本の木造建築で昔から使われている木造軸組工法で建てられている
  • 草葺屋根や茅葺屋根、土間などの特徴を有している

このような古民家の定義は、法律で決まっているものではなく考え方の目安となるものです。築45年で非常に老朽化が進んでいる物件を古民家と呼んではいけないというわけではないため物件探しのご参考にしてください。

築浅物件と比べて売却が難しい2つの理由

一般的に古民家の売却が難しいといわれているのには、主に2つの理由があります。

築浅物件と比べて売却が難しい2つの理由
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築年数が古く老朽化が進んでいる

古民家は建物としての資産価値が非常に低いため、買主を見つけることは簡単ではありません。なぜ古民家の資産価値が低いのかというと、築年数の経過によって建物自体が経年劣化している可能性が高く、外壁や内装などが老朽化していることがほとんどだからです。

仮に人の手によって定期的に管理されている古民家であっても、屋根裏や基礎など、しっかりと調査してみないとわからない箇所が劣化していることがあります。また、古民家の多くは国税局によって定められた耐用年数を超えているため、資産価値はほとんどありません。耐用年数とは、本来期待できる役割を果たすとみなされる期間のことで木造住宅の耐用年数は22年となっています。

耐用年数は古民家の資産価値を図るひとつの指標となっています。もちろん、耐用年数を超えているからといって、資産価値が完全にゼロになってしまうわけではありません。しかし、一般的な買主は外装や内装に不安が残る古民家よりも、資産価値の高い新築や築浅物件を選ぶため、売却が難しい傾向にあります。

耐震基準を満たしておらず、住宅ローンが通りづらい

古民家の多くは、現行の法律で定められた耐震基準を満たしていないため、売れづらい要因となっています。耐震基準とは、人間の命を守るために建築基準法で定められている「一定の地震の強さに耐える」基準のことです。そのため、これから住まいを建築する際は、現行の建築基準法を満たす建物を建てる必要があります。

建築基準法の耐震基準は、1971年と1981年、2000年に大きな改正が行われています。つまり、2000年以前に建てられた古民家の多くは、現行の耐震基準を満たしていません。日本は特に地震が多い国であるため、現行の耐震基準を満たしていない古民家は、どうしても買主から敬遠されてしまいます。また、耐震基準を満たしていない物件は、地震による倒壊リスクが高いため、住宅ローンが通りづらくなります。

そのため、古民家を買いたいという買主が現れても住宅ローンが組めないため、諦めるしかないこともあります。

古民家の売却前にやるべき4つのこと

古民家の売却前にしっかりと準備をしておくことで売却手続きを効率良く進められます。次に、古民家の売却前にやっておくべき4つのことについてご説明します。

古民家の売却前にやるべき4つのこと
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建物の状態について可能な限り正確に把握しておく

古民家は、しっかりと管理していてもその多くは老朽化が進んでいます。そのため、古民家を売却する前に建物の状態について可能な限り正確に把握しておくことをおすすめします。なぜなら、古民家の状態について把握することなく売却し、売った後に契約書にない不具合が見つかった場合、買主から契約不適合責任を問われる可能性があるからです。

契約不適合責任とは、不動産の売買契約において買主に引き渡した物件に契約内容とは異なる欠陥が見つかった場合に売主が負うべき責任のことです。具体的には、水漏れや雨漏り、外壁の破損、土壌の埋没物などが該当します。他にも、土地の大きさが契約内容とは異なっていた場合も、契約不適合責任と判断されてしまう可能性があります。

実際に平成25年3月18日の東京地方裁判所の判例では、売主がしっかりと内装工事を行ってから引き渡すことが前提となっていたにも関わらず実施されなかったとして、契約不適合責任による損害賠償が認められています。

契約不適合責任に問われてしまうと損害賠償の請求はもちろん、契約の解除を言い渡される可能性もあります。契約不適合責任に問われるリスクを抑えたいのなら、住宅診断士の診断結果が得られるホームインスペクションの利用をおすすめします。ホームインスペクションについては、こちらをご参照ください。

土地の境界線を明確にしておく

古民家を売却するには、自分の土地と、他人の土地の境目である境界線について明確にしておく必要があります。なぜなら、売主は買主に対して「どこまでが売却範囲なのか」を伝える「境界明示義務」を負っているからです。

境界線を明示しておけば土地の情報が正確に伝わるため、買主は安心して手続きを進められます。逆に土地の境界線が明確になっていないと、売却後にトラブルに発展する可能性があります。

たとえば、隣接地の所有者が土地の使い方に不満を感じていた場合、古民家の所有者が変わったタイミングで苦情を伝えてくる可能性があります。また、境界線が明確になっていないと土地の価値が定まらないため売却額が低くなります。土地の価値を明確にするためにも、まずは地面に埋められた境界標を探してください。

境界標とは、自分と他人の土地を区別をするための目印のことで、永久性のあるコンクリート杭や金属標、木杭など、さまざまな種類があります。境界標に記された境界点を結びつけることで、自分の土地の面積がわかります。

もし、境界標が土に埋もれてしまって見つけられない場合は、法務局にある不動産登記簿を見れば境界線を確認できます。どうしても境界線がわからない場合は、土地家屋調査士に境界線の確定作業を依頼しましょう。

確定作業の依頼には50万円~100万円の費用を必要としますが、古民家の土地の境界線がはっきりとするため、安心して売却手続きを進められます。

敷地内に地中埋設物がないかを確認しておく

古民家を売却する際は、敷地内に地中埋設物がないか確認しておきましょう。地中埋設物とは、建物の基礎やコンクリート片、使われていない水道管、屋根瓦、井戸など地中に埋まっている廃棄物のことをいいます。

買主が新しく住まいを建てる場合、地中埋設物は基礎工事の阻害要因となってしまいます。そうなった場合、契約不適合責任や契約解除のリスクが生じることも少なくありません。地中埋設物の有無を調べるためには、20万円前後の調査費用が必要となります。

また、個人宅の地中埋設物を撤去するには最低でも20~30万円程度、すべての基礎杭の撤去など作業内容によっては100万円の費用を要することもあります。そのため、地中埋設物の存在が確認できたものの撤去費用の支払いが難しい場合は、重要事項説明書にその事実を記しておくことをおすすめします。

再建築不可物件ではないか確認しておく

古民家を売却しようと思っても、再建築不可物件であることが分かり売却できない場合があります。再建築不可物件とは、現在の建物を壊して建て替えることができない物件のことです。多くの人が集まるエリアは、行政が主軸となって住みやすいまちづくりを行うため、準都市計画区域や都市計画区域などの区域が設けられています。これらの区域で建物を建てる場合は、建築基準法によってそのエリアで暮らす人たちに危険が及ばない建築をすることが規定されています。

そのため、建築基準法に則って建物を建てる際は、「その土地が幅員4m以上の道路に対して2m以上接してはいけない」という接道義務が課されています。接道義務とは、建築基準法第43条で定められた緊急車両や避難経路を確保するための義務のことです。この接道義務を満たしていない場合、再建築不可物件となってしまいます。

もし、売却前に再建不可の古民家を取り壊してしまったら、新たに建て替えることができなくなります。再建築不可物件なのかについては、自治体のホームページ、または市役所で確認できます。

古民家を高値で売却する5つの方法

古民家を少しでも高値で売るにはどういった方法が有効なのでしょうか。次に古民家を高値で売却する5つの方法についてご説明します。

古民家を高値で売却する5つの方法
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古家付き土地として売却する

古民家の売却において、もっとも代表的な売り方は古い家を残したまま古家付き土地として売却する方法です。古家付き土地とは、古い家屋が建っている土地のことをいいます。不動産情報サイトに中古住宅として販売されている不動産とは異なり、家屋に資産的な価値はほとんどありません。

そのため、「この土地には資産価値0円の家屋が残っています」ということを表現したものが古家付き土地で、一般的には「土地※現況 古家あり」として売られています。古家付きの土地を売却するなら古家を取り壊す必要がないため、すぐに売りにだせるのはもちろん、売主の費用負担を抑えることができます。

この売却方法なら古民家付きで買いたい人や更地にして有効利用したい人の両方にアプローチできます。ただし、買主が土地を更地にしたいと考えている場合は、購入後に古民家の取り壊しが必要となるため、取り壊し費用の値引きに応じる必要がある点に注意が必要です。

古民家を取り壊し更地にしてから売却する

古民家が建っている土地自体に価値がある場合、建物を取り壊して更地にすることで土地だけを高値で売却できます。また、古民家の老朽化が進んでおり、外壁や内装などに大きな損傷が生じている場合は、取り壊しを行って更地にした方が土地の価値を最大限に引き出しやすくなります。

また、古民家を取り壊して更地にしてから売り出すと、古家付き土地よりも買主が早く見つかりやすくなります。なぜなら、買主が古民家を取り壊す必要がなく、新築物件の建築工事にすぐに着手できるからです。

また、更地にして売却する方法なら定期的な古民家の管理費用が発生しないのも大きな魅力のひとつです。この売却方法の注意点は、古民家の取り壊し工事の内容に応じて費用が発生することです。たとえば、次のような要因があると相場よりも高くなってしまいます。

  • 狭小敷地や住宅密集地での工事
  • 道路幅が狭いエリアでの工事
  • 人通りや交通量が多いエリアでの工事
  • 繁忙期とされている期間の工事
  • 工務店の紹介先で実施する工事
  • 倉庫撤去や残留物処分などの付帯工事
  • 残留物や不要なゴミの処分量が多い
  • 全体的にコンクリートで覆われている
  • アスベストが使用されている
  • 残土処分が必要な工事

また更地にすると税金が高くなる可能性があります。これは、古民家を取り壊してしまうと小規模宅地等の特例の対象外となって固定資産税が高くなるためです。小規模宅地等の特例とは、土地を相続した際に一定の面積までなら相続税計算時の評価額を50%または80%減額できる相続税法上の特例制度のことです。

小規模宅地等の特例を適用すると仮に1億円の土地を相続しても土地の評価額が0円となるため、相続税を支払う必要がなくなります。

小規模宅地等の特例を適用する場合

土地の評価額1億円-80%減額=土地の評価額2000万円
土地の評価額2000万円-基礎控除3600万円=評価額0円

リフォームして売却する

古民家を売る場合、リフォームした方が高く売却できることがあります。リフォームされている物件は、不動産情報サイトにリフォーム済み物件として掲載できるため、買主からの建物の印象が良くなります。

ただし、リフォーム費用は売主負担となる点に注意が必要です。リフォームをすることで売却額が上がったとしても、負担費用の全額を回収することは決して簡単なことではありません。

この場合、無理に全面的にリフォームするのではなくて、たとえばお風呂のバス交換だけしておくと費用を抑えつつも古民家の印象が良くなって買主が見つかりやすくなります。

古民家Bankで売却する

古民家Bankなら老朽化が進んでおり売却が難しい物件でも、売り出すことができます。古民家Bankとは、古民家を売りたい所有者と買いたい人が直接商談し、マッチングできるサイトのことです。

古民家売買のノウハウがない不動産会社に売る相談をしたとしても、売却依頼を断られてしまうことがありますが、古民家Bankなら最低限の項目を記載することで、不動産会社に断られた物件であっても古民家探しを行っている人に効率良く売却アプローチできます。

また、登録した古民家に直接購入者から連絡が入るため、お互いの要望について簡単に話し合うことができます。もちろん、古民家の所有者である売主が誰に売るのかについて選べるため、自分の要望とマッチしないと感じた場合は、売らないという選択もできます。

ただし、不動産会社からサポートが得られる通常の売却方法とは異なるため、築年数や建物の状況などから自分で売り出し価格を決める必要があります。

不動産買取で売却する

古民家は、建物の状態や立地などによって、一般の個人にそのまま売却するのが難しい場合があります。その一方で、古民家の買取を専門とする不動産会社は、数多くの売買経験から物件の価値を正しく理解しており、たとえ老朽化が進んでいたとしても、そのままの状態で買い取ってくれます。

不動産買取による売却方法は、不動産会社が古民家を直接買い取ってくれるため、買主探しの必要がなく時間をかけずに現金化できることが大きな特徴です。不動産仲介で売却する場合は、不動産会社に買主探しを行ってもらうことが一般的ですが、この方法では売り出しから売却までに3ヵ月~6ヵ月の期間を要します。このうち、マンションは売れやすく3ヵ月、戸建ては6ヵ月程度となります。

物件の状態やエリアによっては1年、2年と売却までに長い期間を要することもあるでしょう。一方で、不動産買取なら査定依頼から物件の引き渡しまで最短1ヵ月で素早く売却手続きが完了します。

ただし、不動産買取はリフォームやリノベーション費用を差し引かれるため、仲介価格の約8割程度での売却になる点に注意が必要です。そのため、不動産買取は、売却額が少し下がっても今すぐ売りたいという事情を抱えている方におすすめの方法です。

【まとめ】自分に合った売却方法について不動産会社に相談しよう

古民家売却は難しいイメージをもたれがちですが、一般的な不動産売却と何ら変わりはありません。古民家は、古家付き土地として売却する方法以外にも、取り壊して更地にしたり、最低限のリフォームを行うことで高値で売却できることがあります。

たくさんの売却方法の中から、自分にとってベストな古民家の売り方について考えるためにも、不動産会社に査定依頼をすることをおすすめします。不動産会社の査定を受ければ、自分の所有する古民家がどれくらいの資産価値を有するのかを把握できます。

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【まとめ】自分に合った売却方法について不動産会社に相談しよう

不動産売却のことでお悩みなら

この記事を書いた人

グーホーム編集部

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これからの不動産の価値を伝えるため、沖縄を駆け回るグーホーム編集部。
不動産の専門家や沖縄に精通する皆様に支えられ、執筆を楽しんで行っています。
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株式会社プロトソリューション

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