リフォーム・リノベーションの費用対効果
2020.04
これからリフォーム・リノベーションを考えている皆さんは、まず予算を決めるかと思います。ですが、予算を決めるのはなかなか難しいものです。
「用意できるお金=予算」というわけでもないですし、不便なまま金額を抑えるのか・・・。
限りある予算を決めていくうえで、参考となる考え方や押さえておくべきポイントをご紹介していきたいと思います。
目次
「実費的費用対効果」と「精神的費用対効果」
費用対効果という言葉があります。ビジネスの世界では、このビジネスが成功するか否かを考慮する一つの目安となります。
ビジネスにおける費用対効果には、支払う金額と同じかそれ以上の効果(利益)を生む「実費的費用対効果」と、費用をかけることにより働くことに対してゆとりが生まれ、全体的に作業の流れが良くなったりチームワークが良くなる等の「精神的費用対効果」という2つの意味合いがあります。
今回は、リフォーム・リノベーションにおける「実費的費用対効果」と「精神的費用対効果」という二つの観点から考えていきたいと思います。
実費的、精神的に費用対効果を高くしたいなら
まず、コストに見合う大きなメリットが得られる「実費的費用対効果」が高いのは、設備の入れ替えです。
古い配管の目詰まりの解消や節水効果・節電効果・省エネなど様々なメリットがあります。
例えば、食洗機付きのシステムキッチンに替える事により家事の時間節約になったり、蛍光灯からLED照明に替えて電気代のランニングコストを抑えたりなど、かけた費用に対して実費的な効果が充分に期待できます。
そして次に「精神的費用対効果」が高いのは、間取りの変更です。
間取りの変更により部屋がキレイになったり、動線的に使い勝手が良くなりますが、床・壁・天井・扉・窓ガラス・照明器具からスイッチの位置に至るまでの全てが工事対象になり、それなりに費用がかかるものとなります。
間取りの変更にかかる工事は設備の入れ替えのように節水効果があったり、ランニングコストが抑えられるといった効果はありません。それどころか、部屋が大きくなると空調を大きなタイプに変える必要が出てきたり照明器具を増やしたりと、コストがかかる部分が増えてきます。
しかしながら、間取りの変更により置く場所のなかった季節の家電(扇風機やヒーター)、収納が無くて出しっぱなしの掃除機、子供用品置き場、洗濯物と洗剤が片付かない洗面室など「散らかしたいわけじゃないのに片付かない」といった日々のストレスが軽減され精神的な満足に繋がり、結果として心にゆとりが生まれます。
心にゆとりが生まれれば、いつもの口癖のようだった「早くしなさい!」や「片付けなさい!」といった言葉が少なくなったり、いつか片付けようと思っていた古いアルバムや今もどんどん増えていく家族の思い出の物をスムーズに整理できる事により色んな行事が楽しみになったり、何を残せばいいのか・何を捨てればいいのかとの判断・整理がしやすくなるかもしれません。
実費的にも精神的にも費用対効果を高くしたいというのが施主さまのご希望であることは間違いないと思いますが、希望の全てを叶える事は予算的にもなかなか難しいことです。
そこで「どの部分に予算をかけていく事が、自分の家族にとって満足のいくリノベーションとなるのか」「逆にいちばん不満が大きいのはどこなのか」など、潜在的な問題や悩みを設計者と共に話し合い共有して解決に向けた間取りを考えてみましょう。
それが家族にとって“ベストな”「費用」となり、高い「費用対効果」となるのではないでしょうか。
それぞれのポイント
『実費的費用対効果』が高い
- 給排水設備のやり替え(古い配管の取り替え)
- 照明器具の取り替え(ランニングコストの軽減)
- 流し台からシステムキッチンへの取り替え(節水効果など)
『精神的費用対効果』が高い
- 洗面室などの狭い部屋の間取り変更
- キッチン、洗面室などの水廻りの動線やり替え
- 広すぎる和室や仕切られた客間など使ってない、もしくは使いにくい部屋の間取り変更(リビングの一部として広々となど)
例えば、子供がまだ小さいので目を離さずに家事を行えるようにしたい場合、対面キッチンにし洗面室もキッチンの横に配置して、さらに家族のクローゼットも近くに配置していると、食事や洗濯、お風呂の準備も少ない移動で済み、子供から目を離さずにすみます。
このようなリフォーム、リノベーションを依頼する場合だと、古い流し台を節水効果の高いシステムキッチンに取り替えることで実費的費用対効果があり、間取りの変更により小さい子供から目を離さないで家事ができるという心のゆとりが生まれるので精神的費用対効果があります。
具体的なリフォーム・リノベーション例を踏まえることで、工事にかかる費用や家庭にどのような効果・影響があるのか、ご家族の方も理解しやすくなるかと思います。
色々やりたい事はあるけど予算がなかなか決められない場合は、「実費的費用対効果」や「精神的費用対効果」も目安にしてみるのもいいのではないでしょうか。