既存住宅の『古さ』を楽しむリノベーション事例
2020.10
既存住宅(中古住宅)の購入、特に築年数の経過した既存住宅を購入する場合は、その古さに対して不安を感じる方が多いのではないでしょうか。でもちょっと視点を変え『古さも味』と考えてみると、建物の見え方も変わってくるものです。
もちろん、しっかりプロにチェックをしてもらい品質を確保するのは大前提。その上で、残せる部分を活かし既存住宅ならではのデザインやテイストにすることができます。
今回は「立地的には申し分ないが、建物がだいぶ古くて…」という不安を抱えた方のリノベーション事例を紹介します。
目次
リノベーション事例:夫婦(30代)、子供2人(小学校高学年、低学年)
- 実家のすぐそばの家を購入。立地はいいものの築年数は経っていて劣化がだいぶ進んでいる。
- 築年数は実家と同じくらいだが住人が2回変わっており、色々と増築もされていて面積は広い。
- 部屋数は多いが、小分けにされているために各部屋で広さが感じられず使いにくい間取りになっている。
- 2年以上も空き家だったため白アリが巣食っており、駆除と全面的な改装が必要。
- 購入費用を踏まえると改装費に充てられる額は限られているため、設計担当者と密に打合せを重ねていった。
全面的なリノベーション。『古さ』を『アンティーク』に活かす
窓ガラスは雨漏りのある箇所以外、昔ながらの模様のあるガラスを元のまま利用。
狭かった玄関はホール部分まで広げ、タイル貼りを土間へ改装し自転車も置けるようにした。玄関框(げんかんかまち)は古材の柱を再利用し、大きな鏡も古材で額縁を作りレトロな雰囲気に。
板間続きの部屋を、廊下も含め一体化し広々としたリビングへと改装。
リビングとダイニングも一体にしたかったが、構造的に壊せない壁があったため、その壁を活かし細い古材をランダムに貼りつけて本棚へと利用した。
ダイニングと和室は一体で使用できるように床をバリアフリーに。あえて障子紙を貼らずに格子戸のまま視線を遮らないような空間に改装。
脱衣室が無く、洗濯機置き場も浴室と一体だった水廻りも全面的に改装。新たにユニットバスを設置し洗面脱衣室を設けた。
狭く細長かった浴室はコンクリートの劣化が激しかったため、減築して物干し場とした。
2階は階段からそのままつながっている部屋だったので、間仕切り壁を設けて個室に変えた。
全体的な色合いを考えマットな仕上がりにし、照明も蛍光灯ではなく電球が見える白熱灯へ替えた。
施主のリクエストでリビングにはシャンデリア風の照明、ダイニングにはお気に入りのガラス製ペンダントライトを設置。
リノベーションならでは!『古さ』を味として楽しむ
「新しさ」に寄せるのではなく、『古さ』に寄せたリノベーションの事例、いかがだったでしょうか。
『古さ』は『アンティーク』に変わっていき、昔からあるような雰囲気を演出します。
予算削減のために家族で塗った寝室の壁のペンキもいい思い出になりました。
『無理やり新しくしなくていい。』レトロな雰囲気から『古さを楽しむ』という感覚。これもリノベーションならではの楽しみ方ではないでしょうか。