銀行員に聞いてみた。住宅ローン返済中のリノベーション資金計画
2020.09.25

築年数が古い住宅でも借入可能なのか?などさまざまな質問に分かりやすく答えてくれました。
住宅ローンを借りる人も建物もさまざま。相談するだけでも気づきが多いかも!
- ・結婚を機にマイホームを購入した
- ・子供を転校させたくなかったので、進学のタイミングでおうちを購入した
- ・希望にぴったりの物件が見つかったから、マイホームとして購入した
マイホームを手に入れるタイミングはそれぞれですが、購入してから時間が経ち家族構成やライフスタイルにも変化がおきたことをきっかけに、リノベーションを考える方もいるのではないでしょうか?
「住宅ローン返済中だけど、リノベーションしたい!」
そんな方のために、資金計画の考え方を鹿児島銀行の田中さんに教えていただきました。
- 聞き手:嘉手苅(筆者)
- 話し手:鹿児島銀行の田中さん
目次
「ローン支払い中でもリノベーションしたい!」方へ、2種類のローンを提案
── 「住宅ローン支払い中だけど、リノベーションがしたい。資金調達方法を教えてほしい。」こんなご相談ってありますか?
そう多くはないですが、ご相談はありますよ。「住宅ローン組んでいるし無理だろう」、「借りられる方法はあるのかな?」と不安げな面持ちでご相談に来られます。
── そのようなお客さまに田中さんはどんなご提案を?
「リフォームローン」と「住宅ローンの一本化」、この2種類からお選びいただいています。
まず「リフォームローン」ですが、担保を取らないので抵当権の設定登記が不要で、住宅ローンに比べて揃える書類も少ないですね。ただ、借入上限額も返済期間も住宅ローンより少なく、金利が高めなので、短期間で返済できるような計画が必要だと思います。
── もう一つの方法の「住宅ローンの一本化」ですが、返済中の場合は「借り換え」ということですか?
そうですね。現在の住宅ローン残債額とリノベーションにかかる費用をまとめてお借り換えされるケースが多いですね。住宅ローンは金利が低く、長期間のお支払いができて無理のない返済計画を立てやすいので、一本化はおすすめですね。
── なるほど!この機会に合わせて、リノベーション費用も住宅ローンに一本化するとメリットが多そうですね。
ただ、抵当権設定も再度必要になりますし、手数料もかかります。団体信用生命保険への加入も必要です。また、場合によっては金利が今の適用金利よりも上がる可能性もありますし、借入期間も建物の状態やお客さまのご年齢によっては伸ばせないこともあります。メリット・デメリットをきちんと把握して進めることが大切です。
ローンを受けるなら知っておきたい「建物の担保評価」と「審査基準」
── 建物の状態について質問になります。沖縄でも中古住宅+リノベーションを選択する方が増えていますが、中古建物も含めて担保評価の方法ってどうやっているんですか?
ご存知の方も多いですが、土地については「路線価と公示価格」や「地価調査価格」を参考にしています。道路の条件も重要な評価ポイントです。
建物の評価は、基本的に算出した土地価格に新築後の耐用年数と経過年数の割合によって減価した計算式で評価額を算出します。ですが、中古住宅の場合は不動産情報誌やポータルサイト等で掲載されている相場価格よりも低めに評価する傾向があり、販売価格と金融機関の評価に大きく開きがあることもあります。
借り入れしたい金額と担保評価が合わないと、審査の上で厳しい結果になることもあります。
── 築年数が古い場合はリフォームローン一択になりますか?
他の金融機関もそうだと思いますが、実際は担保評価だけの理由をもってお断りすることはありません。ご本人の属性(職業、勤続年数、年齢、借り入れ状況など)を重視します。案件ごとに個別で対応できるケースもありますので、まずはご相談いただけたらと思います。
── なるほど。住宅ローンについての細かい相談ができるのは地方銀行の強みですね。
はい。例えば、オートローンやフリーローンは書類審査や機械審査の判断で融資可否が決まりますが、住宅ローンの場合は、その人の背景など確認しながら相談を進めることができます。
審査基準を限定したり人件費を抑えるなどの工夫で金利を低く設定している金融機関もありますが、金利だけではなく、信頼関係のもと個別相談が可能という点で見ると、地域に根ざした地元の金融機関に相談するメリットは十分にあると思います。


資産運用なども迅速・丁寧にご提案いただけます!
最後に
ハードルが高いと感じていたマイホーム購入後のリノベーションですが、返済期間と金利を組み合わせることで思っていたよりも負担がかからず、さらなる理想の住まいを手にいれることができそうです。
条件や特徴を抑えた上で、借り入れと返済計画をしっかり調べて賢く利用したいですね。

この記事を書いた人
有限会社トクマサ工業 La.fit


考え方や好みは、十人十色。既成概念にとらわれず、住む人、使う人にとことん向き合い、
「デザイン」「住み心地」「価格」この3つのバランスを大切に一緒に作り上げる。
※有限会社トクマサ工業 La.fitはリノベーション協議会の会員です。
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