RC造の家で室内の高さを活かす
2021.07
目次
広く使うアイディアは増築だけじゃない。高さを活かして空間の有効活用を!
今回ご相談のお客さまは築30年の実家を二世帯住宅へリノベーションしたいという要望でした。
その住宅の概要は1階部分がリビングと和室と水廻りで、2階部分は寝室と子供部屋という間取りです。その住宅を1階にご両親世帯、2階にご夫婦(20代)とお子さん2人(低学年)の世帯にしたいという計画です。
1階部分はご両親お二人で十分な広さですが、2階部分はというと1階と同じ広さですので、4人家族では少し手狭でした。
そのために増築も検討したいとありましたが、住宅敷地にはさほどゆとりはなくて増築スペースが難しい立地でした。
ですが2階部分の一部が勾配屋根になっており、ベランダから計測しても最高部分は3.8mほどの高さがあったので、ロフト(屋根裏部屋)で室内面積を広げる案を提案してみました。
共同住宅の階高は平均3mほど。では一般住宅では?
沖縄の住宅ではRC(鉄筋コンクリート)造の家がほとんどです。
木造住宅と比べると建築費も上がりますが、台風が多い、シロアリが多いという地域性からRC造が定着しています。
そのRC造の特性として、木造住宅よりも階高が高めに設計できることから、一般的な木造住宅の場合の階高が2.8mから3.3mほどに対し、沖縄のRC造住宅の平均的な階高は3.3m~3.6mほどが多く、木造と比べても30cmから60cmほど階高が高いのです。ちなみにアパートやマンションなどの共同住宅の階高は平均3mほどで、本土の木造アパートと比べてもそれほど差はありません。一般住宅は階高が高めという傾向です。
今回の住宅では平均的な階高に加えて一部勾配屋根になっており、室内を平均的な天井高さを確保しても、室内上部の空間にゆとりがあり、その余剰部分を有効活用しようという計画です。
天井を撤去し、屋根裏の床部分を鉄骨で補強
計画としては、まず2階の部屋全体の天井部分も含めて全て撤去します。
その後はロフトの床となる部分を強固にするため、鉄骨下地を組んでいきます。
これによりロフトに人が登っても十分な強度になるよう仕上げていきます。
ただ構造にもよりますが、ロフト部分には梁(はり:柱と柱をつなぐ構造的な部分)があったり、屋根を支えるための構造的な外壁があったりで、外窓が作れないことが多いです(今回もそのケースでした)。
そのため、ロフト部分は四方全てを壁で囲わずに、室内の明かりが多く入る部分を開けるようにして、自然光を取り入れるように配置するなどの工夫が必要です。
ロフトをインテリアとして考える。全体が一体化したリビングデザインを!
実はロフト部分はいろいろな規定があります。
大きく分けると以下の注意が必要です。
- ロフト部分の床面積は該当階(今回は2階部分)の床面積の1/2未満であること。
- ロフト内の天井高さは1.4m以下であること。
- ロフト直下の部屋の天井高さは2.1m以上であること。
という3点が主な規定がとなります。これは小屋裏の使用とは余剰空間を有効利用するものであり、用途としては収納に限定される。という決まりがあるためです。
そのために寝室などの部屋としてロフトを使用する事はできませんが、考え方を変えると各部屋にある収納や押し入れ部分の面積をロフトにもっていくことで、その部屋(寝室や子供部屋)は収納スペース分を広く使えるということです。
ロフトは季節ごとに使う扇風機やヒーター、洋服などの片付け部屋としては十分な空間になります。
日用品のストック置き場としても活用できますし、なかなか捨てられない思い出の品を片付ける部屋としてや、来客用や冬用のお布団、コタツなど毎日使うものではないけれども、日常的に置いてあるものを一箇所に片付けられる部屋という考え方となれば、それだけでも十分に活用できる便利な空間になります。
ですが、ただ収納として使用していくとなかなかキレイに片付けをしないものです。そこでその対策としてロフトの位置をリビングの一体として配置し、普段から目に付くようなインテリアの一部のような場所として活用してはみてはいかがでしょうか。
ロフトの用途としては収納部分なのですが、目に付く場所であれば片付けもしやすいですし、何よりロフトのある部分は天井も高くあるので開放感もあります。また収納部分としてもリビングを中心とした配置であれば利用しやすいと利点も多いです。
室内を広々とさせるのは増築だけじゃない、高さを活かしたリノベーションの事例は、いかがでしたでしょうか。
もしリノベーションを考える機会があれば、室内の広さだけでなく、階の高さにも目を向けて有効活用できる部分はぜひ活用していただければと思います。