壁はどこまで壊せるか。~建物の特徴と自分らしい暮らし~
2023.06

既存の建物をリノベーションする場合、「ここをリビングにして、ウォークインクローゼットはここ」みたいに間取りを考えることはとても楽しい作業です。
「キッチンをこう配置したら家事動線がいい」など、自分の生活にあった暮らしはワクワクします。
ですが、建物の構造やライフライン(給排水管や分電盤の位置など)を意識した計画でなければ、その間取りプランも実現しません。
特に構造体となる柱や梁、壁などは壊すことができない場合があり、損傷を与えてしまうと建物の崩壊につながる非常に危険な状態になることもあります。
また、築年数が古いと躯体(柱・梁・壁など)に衝撃を加えることで、建物自体の寿命にも大きく関わってきます。
ここでは、沖縄の既存戸建て住宅に多い鉄筋コンクリート造とコンクリートブロック造についてお話していきたいと思います。
目次
コンクリート住宅の構造
鉄筋コンクリート造には、以下の2種類があります。
①柱と梁で建物の構造を支える『ラーメン構造』
②壁で構造を支える『壁式構造』
ラーメン構造の特徴
柱と柱までの間隔が大きく取れる。
室内空間の自由度が高く、リノベーション向きと言えます。
沖縄の住宅では築古のラーメン構造の平屋建てが多く存在し、それをフルリノベーションする方が多いです。
ラーメン構造のなかでも屋根や壁を木組やブロックを併用した住宅もあり、リノベーションをするにあたり、既存の状態を生かしたデザインにすることも多くあります。
壁式構造の特徴
壁で天井スラブ(屋根)を支えているので、安易に壁を壊すことができません。
また『耐力壁』と言う壁で形成されているため、間取り変更の自由度が下がるので、リノベーションの際にはより知恵を絞らなければなりません。
近年、建築コストの上昇もあり、10年ほど前からコンクリート住宅のほとんどが壁式構造となってきました。理由としては、ラーメン構造と比べ、使われる鉄筋やコンクリートの数量が少ないので安く建てられることがあげられます。
しかし、後に間取りの変更ができないことが多く、リノベーションの醍醐味である『ライフスタイルにあった暮らし』への変化に対応していくことが難しいと言えます。

「壊せる壁」と「壊せない壁」の判断
実際にどの壁が壊せて、どの壁が壊せないのかを判断するには、以下の確認方法があげられます。
- ① その建物の図面を確認する
- ② 目視で天井内や床下を確認する
- ③ 構造体の厚み(100mm、120mm、150mm、200mmなど)を確認する
- ④ 構造種別(コンクリート流し込み壁なのかブロック壁や木壁なのか)を確認する
既存のトイレやお風呂の仕切り壁などは、厚さ100mmのブロック壁で施工されている場合が多いので、その壁を撤去してユニットバスに変更することは可能です。
しかし、比較的自由度が高いラーメン構造の場合でも、一部に耐力壁が稀に存在することもあるので注意が必要です。
また、前述したとおり壁式構造の場合は、そのほとんどが耐力壁となっているので壊すことはできません。
窓の大きさや形状を変更してもいい?
窓の位置の変更や形状の変更は、ラーメン構造の場合は柱や梁以外の場所であれば可能なことが多いです。
それに比べ壁式構造は、例えば掃き出し窓を腰窓に変えるとか、玄関を取り換えるといった場合は可能ですが、窓を大きくする場合は検討が必要です。
また、窓を塞いだり小さくしたりすると、建築基準法で定める居室の開口部割合(注)を満たさなくなったり、施工方法によっても鉄筋強度の不足や漏水の可能性も懸念されることがあります。
(注)開口部割合
・採光に有効な部分の面積として居室の床面積に対して1/7以上。
・換気に有効な部分の面積として居室の床面積に対して1/20以上。
リノベーションして使い勝手のいい間取りにするのにも、決められた法令を守らなくてはいけません。
また、建物を長く大切に使うためにも、安易にコンクリートの壁を壊すのはおすすめしません。なぜなら、衝撃や振動を与えると、工事対象としていない場所の給排水管が、不具合を起こしてしまったり漏水が発生したりなどと、想定していないことが起こる可能性があるからです。
建物の築年数や傷み具合によっても、できる工事とおすすめできない工事があります。
どんな暮らしをしたいのか、リノベーション会社の担当や設計者と共有しながら、建物を活かせる間取りを計画されてみてください。

間仕切りの壁は厚さ100mmで天井まで達していないので撤去できる壁。

既存の梁や柱は丁寧にはつりを行っている。

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