不動産売買契約書とは?記載のポイントや作成時の注意点|不動産の価値×売却コンテンツ

不動産売買契約書とは?記載のポイントや作成時の注意点

  • 不動産
  • 売買
  • 契約書

2024.09.13

不動産売買契約書とは?記載のポイントや作成時の注意点|不動産の価値×売却コンテンツ
出典:写真AC

不動産売買では、売主と買主間で契約内容の相違やトラブルを防ぐため、不動産売買契約書を使って契約を交わします。不動産を個人間売買する場合、大きな壁となるのが不動産売買契約書の作成です。

記載のポイントを理解して作成しなければ、トラブルに繋がりやすくなるため、記載内容についてひとつずつ慎重に検討する必要があります。

今回は、不動産売買契約書とはいったいどのような書類なのか、記載内容や自分で作成する際の基本的な流れについてわかりやすく解説していきます。

目次

不動産売買契約書とは?

不動産売買契約書とは、不動産を売主から買主に売却し、その対価となる代金の支払いを約束する契約書のことです。契約書には、売却時の金額や代金の支払い時期、売主と買主の氏名、住所、対象物の住所、面積などが記載されています。マンションの場合は、これらの項目以外にも、敷地権や専有部分に関する詳細が記されます。

不動産売買契約書は、売買契約を交わす際に、売主と買主で契約内容に対して認識に相違がないか確認するうえで欠かせない書類です。また、口約束ではなく書類という形で契約内容をしっかりと残しておくことで売買契約後に時間が経過してから認識や意見の違いによって生じるトラブルの深刻化を防ぎ、両者合意のもとに不動産売買の手続きを進めることができます。

不動産売買契約書とは?
出典:写真AC

不動産売買契約書の記載内容

不動産売買契約書には、どのような項目が記載されているのでしょうか。記載内容の概要についてご説明します。

不動産売買契約書の記載内容
出典:写真AC

売買対象の物件

不動産売買契約書には、売買対象となる建物や土地、所在地、地番などの不動産情報が登記情報に基づいて記載されています。

売買対象となる不動産の登記簿情報については法務局で取得可能な登記簿謄本で調べられます。なお、登記簿上の地番と一般的な住居表示では、表示内容が異なることがあるため記載には注意しましょう。

売買代金や支払期日・手付金

売主と買主の話し合いで決定した売買代金の支払い方法や支払い期日などが記載されています。手付金とは、売買契約の成立を証明するために代金の一部を現金で支払うことをいいます。手付金は、新築物件なら5%、中古物件なら10%程度であることが一般的です。

売買代金の支払いは銀行振り込みとなるケースがほとんどです。売買代金の支払いが複数回になる場合は、それぞれの支払日の記載に誤りがないかしっかりと確認しておきましょう。

土地の実測と代金の精算

実際の土地面積と登記簿謄本に記載されている土地の大きさに違いがないかを確認する項目です。測量に基づいて算出された面積は実測面積と呼ばれ、登記情報と大きく異なる場合は、改めて売主が土地の実測を行います。しかし、土地の面積の差が誤差程度であった場合は、その差分を土地代金として精算する取り決めを交わすことが少なくありません。

売買物件の権利移転の時期

不動産売買では、次の手続きを同じ日に行うことが一般的です。

  • 売買代金の支払い
  • 物件の受け渡し
  • 所有権移転登記の手続き

これらの手続きを同じ日に行うことを同時履行といいます。同時履行とは、不動産売買時に当事者間の公平性を図ることを目的に、契約相手がその義務を履行すると同時に自分も義務を履行することをいいます。

同時履行には、「売買代金を支払ったのに引き渡してもらえなかった」や「引き渡しを行ったのに売買代金の支払いがなかった」といったトラブルを防ぐ効果があります。物件の引き渡しの際は、売主は所有権移転登記の手続きに必要な書類や住まいの鍵などを買主へ渡す必要があるため、予定の確認を忘れないようにしましょう。

付帯設備等の引き継ぎ

付帯設備とは、建物や土地とは関係なく引き継がれることになる機器や設備のことです。住まいを売却する場合は、敷地内にある設備のうち、売主から買主へ何を引き続くのかを明確にしておく必要があります。たとえば、付帯設備には次のようなものがあります。

  • 室内:冷暖房や換気扇、給湯器、照明、電気配線など
  • 室外:庭の植物、庭石など

付帯設備は、引き渡した後に修理や撤去をめぐってトラブルが発生しやすいです。売買契約書によっては、引き渡しから7日以内に生じた設備の修理費用については、売主負担となる記載がされていることがあるため、この点については買主の要望に応じて適切に対応していきましょう。

負担の消除

売主は買主へ所有権を移転する前に、借地権や抵当権などの所有権を損害する可能性のある権利を消除する必要があります。抵当権など、すぐには抹消できない権利が残っている場合、不動産売買の一連の流れがそこで停止してしまう可能性があるため注意しましょう。

公租公課(こうそこうか)の精算

公租公課とは、国や地方公共団体に納める税金の総称です。公租は所得税や住民税、地方税のことで、公課は健康保険料や社会保険料などの公租以外の税金の支払いを意味します。不動産売買と関連する税金としては固定資産税や都市計画税、不動産取得税などがあります。

不動産を売却する場合、売買代金以外にも固定資産税や都市計画税の精算が必要です。どちらの税金も1月1日時点での所有者に対して課せられ、1年分を一括、または分割で前納します。

もし、1年の途中で売買が行われた場合は、売主は引き渡し以降の税金についても負担することになるため、引き渡しを行った日を基準に日割り計算をして買主が売主に対して精算金を支払って公平性を図ることが一般的です。

手付解除

何かしらの事情で契約解除が必要となった場合に、いつまでなら手付解除できるのか期限が記載されています。一度、売買契約を交わしたものの、買主が諸事情によって契約解除した場合に、手付解除期日内であれば手付金の放棄によって売買契約を解除できます。

逆に、売主が契約解除したい場合は、買主へ手付金の2倍の額を支払うことで解除できます。手付解除の金額や期日については、売主と買主の両者の話し合いで慎重に決めていきます。

契約違反による解除

売主、または買主のどちらかが契約違反を起こした場合の対処法が記載されています。契約違反が生じた際は、違反者は相手に対して違約金の支払いを行います。違反された側は、契約の解除を行う権利が与えられます。違約金の支払いは、売買代金の2割までの範囲となることが一般的です。

引渡し前の滅失・毀損

売買契約成立から引き渡しが行われるまでの間に、売買対象の不動産の全部、または一部が損傷した場合に、負うべき責任が記載されています。たとえば、地震や台風などの自然災害といった売主・買主のいずれの責任でもない事象によって不動産が滅失、または毀損し、修復不可能な状態となった場合は売主、または買主のどちらからでも契約解除ができます。

契約解除する場合は、売主は買主に対して受取済みの金銭を無利息で返還する必要があります。

反社会勢力の排除

売主、または買主が反社会勢力に属していないことや物件を組織の拠点に利用しないことが記載されています。もし、条文に反して反社会勢力との関係性が発覚した場合は、契約解除できます。

契約不適合責任

契約不適合責任とは、不動産を引き渡した後に欠陥が発覚した場合の売主が負うべき責任のことです。不動産売買契約書に記載のない欠陥が見つかった場合、買主は売主に売買額の減額や物件の補修、損害賠償、契約解除などの請求が可能となることが記載されています。

不動産売買契約書の作成・契約までの流れ

不動産売買契約書の作成から売買契約までの流れは、次のとおりです。

  • ステップ1:基本事項について確認する
  • ステップ2:不動産の相場を調査する
  • ステップ3:必要書類を準備する
  • ステップ4:重要事項説明書を発行する
  • ステップ5:不動産売買契約書の作成・契約する
  • ステップ6:物件の引き渡し・売却代金を支払う
  • ステップ7:抵当権抹消・所有権移転の登記を行う

それぞれの手順について詳しくご説明します。

不動産売買契約書の作成・契約までの流れ
出典:写真AC

ステップ1:基本事項について確認する

不動産売買契約書を作成する際は、次の基本情報について正確に把握しておく必要があります。

  • 売買物件の名義人
  • 隣地との境界線
  • 付帯設備の状態

これらの基本情報以外にも、違約金や手付金の期日や金額、売買代金の支払い方法などについて事前にしっかりと話し合っておくことが将来的なトラブルの防止に繋がります。必要情報が一通りそろったら誰が契約書の作成を行うのか、関係者間で決定しておきましょう。もし、契約書の作成を専門家へ代行依頼する場合は、その費用負担の仕方についても話しておくと手続きが進めやすくなります。

ステップ2:不動産の相場を調査する

不動産売買契約書に適正な売買代金を設定するには、不動産相場からの価格設定が大切です。売買代金の算出については、レインズマーケットインフォメーションの利用をおすすめします。こちらのサイトを利用すれば、近隣で売買条件が似ている不動産の成約事例を調べることができます。

ステップ3:必要書類を準備する

不動産売買契約書を作成するには、必要書類や取り寄せ方を調べておく必要があります。もし、不動産会社に作成を依頼する場合は、必要書類の準備方法についてサポートが得られます。不動産売買の必要書類については、下記のページでご紹介していますのでご参照ください。

ステップ4:重要事項説明書を発行する

重要事項説明書は、個人間売買では作成の義務はありません。しかし、買主が住宅ローンの利用を検討している場合は、重要事項説明書の提出を金融機関に求められるため、準備しておく必要があります。

重要事項説明書は、宅建士が作成しなければ法的効力がないため、自分で作成しても意味がありません。不動産の専門知識なしに作成することは非常に困難なため、どうしても必要な場合は不動産会社に作成を相談することをおすすめします。

ステップ5:不動産売買契約書の作成・契約する

不動産売買契約書を作成したら、売主と買主のそれぞれが記名・捺印することで契約が交わされます。紙の契約書には印紙税が発生するため、不動産の売買額に応じて必要な収入印紙を貼り付けて、印紙とその下の書類にまたがって押印する「消印」をします。

売主と買主で2つの契約書を作成・保管し、契約時に手付金の受け渡しが行われることが一般的です。

ステップ6:物件の引き渡し・売却代金を支払う

対象となる不動産の引き渡しは、建物なら鍵を渡すことで行われます。土地を更地にして引き渡す場合は、建物を取り壊して埋蔵物の有無を調査したうえで、物件の滅失登記をすることで建物がなくなったことを登記記録に反映する手続きが必要です。

一般的には、売却代金の支払いが完了すると同時に不動産の引き渡し手続きが行われます。買主が銀行融資を利用して物件を買う場合は、銀行の一室で司法書士の立ち合いのもと引き渡しが行われます。

ステップ7:抵当権抹消・所有権移転の登記を行う

不動産の引き渡しが完了したら抵当権抹消と所有権移転の登記手続きを行います。抵当権抹消とは、住宅ローン利用時に設定された担保権を抹消することをいいます。売主の債務に基づいて抵当権が残っている場合は、引き渡すと同時に抹消登記を行います。抵当権抹消手続きの流れについては、こちらの記事をご参照ください。

所有権移転登記とは、対象となる不動産の所有権が移転したことを公に示すために権利関係の移転日や新たに権利を得た人の氏名などを登記簿へ記録することをいいます。所有権移転登記は、法律による義務ではありませんが、登記がなければ他者に対して所有権の主張ができなくなるため、しっかりと手続きをやっておきましょう。

自作の不動産売買契約書に伴う3つの注意点

不動産売買契約書を自分で作成する場合、どのような問題があるのでしょうか。契約書の自作に伴う3つの注意点についてご説明します。

自作の不動産売買契約書に伴う3つの注意点
出典:写真AC

トラブルにつながりやすい

自分で作成した不動産売買契約書は、必要事項の記載漏れが原因で大きなトラブルにつながってしまうことがあります。たとえば、不動産売買では次のようなトラブルが考えられます。

  • 売却後に上階の騒音に悩まされた買主が防音工事を行って、その費用の負担について売主とトラブルになる
  • 売主の引っ越しが終わらないので、期日になっても引き渡しが完了しない

このようなトラブルが起きても、契約解除や工事負担の割合、違約金など、具体的な対応方法を契約書に記載しておけば冷静な対処が可能となります。不動産について専門知識のない方では、抜け漏れなく記載することは非常に困難であるため、不動産会社などの専門家に作成を依頼した方が安心して売買できます。

作成に多くの時間を要する

不動産売買契約書を自分で作成するには、完成までに非常に多くの時間を要します。仮に既存のテンプレートを使って作成した場合でも、個別の取引状況に応じて契約内容の調整が必要です。

また、都市計画法や民法、建築基準法、国土利用計画法、地価公示法など不動産売買に関連する法律改正がある場合は、変更点について自分で調べて正しく理解する必要があります。

登記手続きをする必要がある

不動産売買契約書を自分で作成するには、不動産登記の手続きについても確認しておく必要があります。不動産登記とは、建物や土地などの不動産ひとつひとつに対して、所在地や広さ、所有者などの情報を法務局で管理されている登記簿に記録することをいいます。

実際に不動産登記の手続きでは、不動産登記法に基づいて法務局の登記官によって次のような情報が登録されます。

  • 建物や土地の所在地や種類・構造
  • 不動産の所有者歴
  • 不動産に設定されている権利
  • 金融機関の利率や借入額

これらの情報を登記簿に記録しておくことで、第三者に対して不動産の所有者であることを主張できます。もちろん、自分で必要書類を揃えて不動産登記することもできますが、専門知識がないと非常に難しい手続きです。特に、住宅ローンがある場合は、金融機関への相談も必要になるため難易度が高くなります。

登記手続きについては、司法書士に代行してもらうのも選択肢のひとつです。知り合いに司法書士がいない場合は相談先を探す必要がありますが、最初から不動産会社に依頼しておけば司法書士の紹介を受けることも可能です。

【まとめ】不動産売買契約書の作成を不動産会社にサポートしてもらおう

不動産売買契約書は不動産売買を安心・安全に取引するために欠かせない非常に重要な書類です。無料のテンプレートを使うことで自分で契約書を作成することも可能ですが、不動産売買について専門的な知識がないと契約内容のすべてを正しく記載するのは難しいでしょう。

そういったときは、契約書の作成を不動産会社にサポートしてもらうことをおすすめします。もし、相談先の不動産会社が決まっていないのなら、グーホームの一括査定の利用がおすすめです。「契約書の作成を依頼したい」や「売買手続きについて不明な点を教えてほしい」など、オペレーターが売主の要望に合わせてベストな不動産会社を紹介しているため、ぜひお気軽にご利用ください。

【まとめ】レインズ(REINS)を賢く使って不動産を高く売却しよう

不動産売却のことでお悩みなら

この記事を書いた人

グーホーム編集部

グーホーム編集部

これからの不動産の価値を伝えるため、沖縄を駆け回るグーホーム編集部。
不動産の専門家や沖縄に精通する皆様に支えられ、執筆を楽しんで行っています。
不動産の資産価値を調べる際に参考にしてください!

株式会社プロトソリューション

株式会社プロトソリューション

プロトソリューションは、「KANDOU COMPANY(感動カンパニー)」を企業目標とし、
データとテクノロジーで人々に感動を届け、地域・社会に貢献する企業です。