リノベーションでの『家事室(ユーティリティースペース)』の利用法
2022.12
近年、女性からのニーズが高まっている「家事室(ユーティリティースペース)」。
どのように使いたいのかご要望をお伺いすると、以下の2種類が候補に挙がります。
- PC作業や書類整理、献立を考えたり、家計簿を付けたりするために利用する空間
- 洗濯物を干したりアイロン掛けや裁縫をすることがメインとなる「ランドリールーム」
SNSで「#家事室」などのハッシュタグで見かけるほど人気があり、リノベーションする際に設置を要望される方は多いのですが、実は「どんな使い方をしたいのか」、「何を置く場所なのか」をイメージできていない方が多くいらっしゃいます。
打合せでは「どのように使いたいか」、「どの家事動線をメインにするか」で配置する内容や場所を考えていきますが、憧れだけで作って後悔しないように、用途をしっかり決める必要があります。
今回は、リノベーションで家事室(ユーティリティースペース)を設置する際に覚えておくべきポイントをお伝えします。
目次
キッチン付近の作業デスクは、高さ・長さ・奥行きを考えて配置
「小さくてもあるだけで作業効率が上がる」と人気が高いのが、キッチン付近にデスクを配置したワークスペース。これがあると家事と作業を同時に進行できて便利です。
椅子の高さも関係しますが、作業用デスクの高さは『使う人の身長×0.41』を目安に選ぶと、居心地のよい作業空間がつくれます。
一般的なダイニングテーブルの高さが72cmなので少し低く感じるかもしれませんが、足の裏全体を床に付けて座れる高さなので安定します。
デスクの上に棚を設けてファイルボックスを置く場合は、横置きか縦置きかで奥行きが変わります。ファイルボックスが「縦型なら28~30cm」、「横型なら32~35cm」の奥行きを確保するときれいに収まります。
目の高さにある棚にファイルボックスを収める場合は、指を掛けて取り出すので棚との間は3cmあれば充分ですが、上部や下部の棚から取る場合は5~8cm空けると、より取りやすくなります。
入れるものをしっかり決めて、ぴったり収まるように幅を指定される方もいますが、重い書類などをしっかり掴んで引き出すなら3cm程度、まっすぐ引き出す場合でも1cmのゆとりを持ちましょう。出し入れしやすく、体勢にも無理のない自分の基準がわかると、より使い勝手がよくなります。
パソコン、照明、プリンター、充電器などその場所で使う機器はいろいろありますが、コンセントやスイッチもワークスペースの収納内にまとめるとスッキリ見えます。
ちょっと使いたい時に机の下にもぐらなくてもいいように、デスク上にコンセントがあると便利です。
ランドリールームの使いやすさがアップするポイント!
家事室で代表的な「ランドリールーム」。
洗濯機から取り出し、室内干しをして、乾いたら作業台で畳む、棚もしくは隣接するファミリークローゼットにしまう。この「洗う、干す、畳む、しまう」といった洗濯にかかわる家事動線をひとつにまとめて作業効率を高められるランドリールームは、キッチンと洗面室の間に配置するのが人気です。
ランドリールームでの作業の流れはイメージできていても、計画時点では置くものが決まらないことが多く見られます。
例えば、沖縄で年中大活躍の除湿機は、使いやすい場所にコンセントが必要です。
洗濯機の横にスロップシンクを付けるなら、雑巾などの清掃用品もその空間に置いておくと便利なので、収納場所を考える必要があります。
他にも、冬にしか使わない毛布やこたつ布団、クリーニング待ちの衣類の保管場所のスペースもあると便利です。
また、一般的に『身長×1.15』が無理なく洗濯物を掛けられる高さと言われており、成人女性の平均身長の158cm(平成22・23年 国民健康・栄養調査-身長の平均値の50パーセンタイル参照)の場合だと182cmが作業しやすい高さとなります。しかし、この高さは使う人が高齢者になると使いにくくなる可能性もあります。
使う人に合わせて、物干しパイプの高さを決めるのも使いやすさをアップするポイントです。
なお、クローゼット収納のパイプの高さは『身長×1.03』を目安に決めると使いやすくなります。お子さまが自分で身支度ができるよう、子供用の洋服をしまう場所は成長に合わせてカスタマイズできるよう可動式のパイプを検討してもいいですね。
暮らす人・使う人のことを考えることが大事
間取りは暮らす人によって違います。
- 今の生活でどんな部分にストレスを感じているのか?
- どんな道具を使うのか?
- どこで使うのか?
- 今、どう使っているのか?
家事室で行われる、いわゆる『名もなき家事』の負担は、使う本人にしか分かりません。
キッチン内に洗濯機置場を配置したお客さまもいますし、パントリーを兼ねた家事室も人気があります。
出し入れの使いやすさ重視ならオープンにした『パントリー兼ワークスペース』
集中したい・ホコリが気になるなら『扉付きのパントリー内のワークスペース』
など、作業内容や配置場所をじっくり検討し、自分にあった空間を見つけ出してくださいね。
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