住みながらのリノベーションは可能?
2023.02
目次
住みながら、リノベーションはできる?
リノベーションとは暮らす人のライフスタイルに合わせて、間取りを刷新したり、電気や水道などのインフラを整えたり、暮らしやすい住まいへと再生させること。
写真のように壁をすべて取り払ってスケルトン(躯体)にするイメージが強いと思われますが、実はもっともっと小規模なリノベーションも多数存在します。
築年数が経過していて古くなった建物をリノベーションする場合には、イメージされている通り大規模な改修が必要となる、または希望される傾向にありますが、築年数がさほど経過していない築浅の建物では、キッチンなどの住宅設備はそのまま使用し、使いづらい洋室をWIC(ウォークインクローゼット)にするなど部分的なリノベーションを行うことも多々あります。
難しそうに思える『住みながらのリノベーション』も、部分的な改修であれば解体の規模も小さいため可能になる場合があるのです。
メリットとデメリット
住みながらリノベーションできる条件
- 解体の規模が小さいこと
- 工事する箇所以外に生活スペースが確保できること
今から10年以上前の実家のリフォームのとき、わたし自身も住みながらのリノベーション経験者でした。
今思えばあれはリフォームではなくリノベーション。「なぜ住みながらリノベーションができたのか?」を思い返してみると、『全解体ではなく部分的な解体だったこと』に加えて『工事箇所に出入りができなくても生活スペースが確保できたこと』が最大のポイントだったと思います。
メリット
- 仮住まいの手間が省けること
- 仮住まいと引っ越し費用がカットできること
住みながらリノベーションをするメリットは、仮住まいをしなくて良いことですよね。
生活圏内で家族にとってちょうど良い物件を探し、家財道具も移動させて数ヶ月生活することは、並々ならぬエネルギーを要しますし、仮住まい先の家賃や引っ越しの費用が省略できれば大きなコストカットになります。
デメリット
- 工事で出る粉塵が舞う中で生活すること
- 工期が長くなること
デメリットとしては、騒音も然ることながら工事中に出る粉塵が舞う中で生活しなければならないこと。
生活するスペースになるべく影響しないよう最大限の配慮と養生を行いますが、解体時に出る粉塵や木材をカットするときに出る木くず、プラスターボードから出る粉、これらが空中に舞って床に落ちてくるまでには8時間程度かかります。こまめな掃除が必要なことと、細かな粉塵を吸ってしまうことも懸念材料です。
もうひとつ大きなデメリットとしては工期が長くなること。
これは家財道具を傷つけないように作業中の動作に気を付けつつ、なるべく生活スペースが汚れないように養生しながら進めるためです。工事中には長い木材を運んできて現場でカットすることも多いのですが、運ぶ際に施工範囲外の既存の壁や床を傷つけないように注意しながら作業することは、当たり前のようで決して簡単なことではありません。
これらひとつひとつを職人に徹底して進めることで工期が1.5倍程度必要になることが予想されます。
住みながらできたマンションのリノベーション
お施主さまに、住みながらリノベーションすることのデメリットをお伝えし、ご理解いただいた上で、那覇市の築浅マンションを部分的にリノベーションしました。
キッチンなどの水回りはそのまま使用し、3匹の猫ちゃんが楽しめるようにキャットステップを付け、玄関横の洋室をWIC(ウォークインクローゼット)に変更しました。工期は約2ヶ月、住みながらのリノベーションでなかったら1ヶ月前後で完了する内容でした。
住みながらリノベーションする場合のタブーは、工事箇所へ出入りすること。
お怪我をされる危険性や施工した箇所が壊れるなど、お互いにとって良くないことが想定できるため禁止となります。
今回は人だけではなく猫ちゃんの出入りも止める必要がありましたし、職人の出入りの際に猫ちゃんが脱走しないように厳重に注意喚起も行いました。
問題なくスムーズに工事を進められたのはお施主さまと職人の協力と理解があったからこそです。
お施主さまも希望されて、設計者から見ても大丈夫だと判断できれば、住みながらのリノベーションは可能です。デメリットよりもメリットが勝るようでしたら検討してみる価値は十分にあります。
もうひとつお伝えしておきたいことは、住みながらのリノベーションはお施主さまと職人、設計者との信頼関係が必要不可欠だということ。コミュニケーションを図り、お互いを思いやりながら進めることが成功の鍵です。